神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

おばさんは、矢継ぎ早に畳み掛けてきた。

「たった今掃除したばかりだっていうのに、ゴミを撒き散らすなんてどういう了見だい!」

「ちゃんと拾おうとしてたよ」

「嘘おっしゃい!しょっちゅう家の前にゴミを撒き散らされて、迷惑してるんだよ!」

だから、ちゃんと拾おうとしてたって。

ちゃんと見てから判断してくれれば良いのに。

…しょっちゅうって言われても、僕、ここに来たの今日が初めてなんだけど。

それでも悪いってことにされちゃうの?

「いつも道端にゴミを捨ててるの、あんた達だったんだね!?」

それは濡れ衣だよ。

「見てご覧。いくら掃除しても掃除しても、ゴミだらけだよ!」

そう言って。

仁王立ちのおばさんは、掃除途中のゴミ袋を見せつけてきた。

ゴミ袋の中に入った「ゴミ」を見て、僕も『八千歳』も、思わず目が点になった。

「全く、こんなに汚して…」

理不尽に怒られているのに、それさえ気にならないほど。

…このおばさんが集めている「ゴミ」。

ゴミ袋にたくさん詰まっているのは、キラキラと光る…宝石だった。

…色とりどりの宝石が、ゴミ袋に無造作に詰め込まれていた。

宝石がゴミなの?

宝石には詳しくないけど…もしかして偽物なんだろうか。

偽物だとしても、あれは「ゴミ」とは呼べないんじゃないだろうか。

…いや、待て。

今のところ、この世界の常識って、元の世界とは全然違ってるからな。

クッキーかと思って食べたら、かぼちゃプリンだったし。

ゴミかと思いきや、宝石でした…ってこともあるのかも。

成程。納得。

勿体ない気はするけど。

ジャマ王国の価値観と、ルーデュニア聖王国の価値観も、かなり違うもんね。

隣同士の国でも、あれだけ常識が違うんだもん。

世界の数だけ、世の中の数だけ常識はあるということなのだろう。

…それは、納得したけど。

「もう堪忍袋の緒が切れたよ」

「…」

この、お怒りのおばさんをどうしよう。

ドーナツの包み紙なら、もう拾ったのに…。まだ怒ってるよ。困ったな。

もしかしたら、凄く短気なのかもしれない。

すると。

「あんた達、罰として今すぐ、このいちごミルフィーユ村のゴミ拾いをして回りな。ゴミ拾いが終わるまで、村からは出さないよ!」

…勝手にキレてたと思ったら、凄く理不尽なことを言い始めた。