神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

「…あれこれうじうじ考えるから、余計心配になるんです」

この調子じゃあ、舞踏会の時間になるまで、ハートの女王の悩み事は尽きないだろう。

履いていく靴のヒールが折れたらどうしよう、髪飾りが途中で外れたらどうしよう。

言い出したら切りがない。

「案ずるより産むが易し、です。あれこれ考えるより、その場の成り行きに任せなさい」

「その場の成り行き…。私は女王なのに、そんなに適当で良いんでしょうか?」

「女王とて、人であることに変わりはありません。何事があろうと、堂々としていれば宜しい」

こんなところでみみっちく弱音を吐いている方が、余程みっともない。

「そ、そうですか…。分かりました。…頑張ってみます」

「えぇ、そうしなさい」

舞踏会一つで、これほど大騒ぎとは。

全く、何処かのパンダ学院と言い…。上に立つ者としての自覚がありませんね。

ともあれ、どんな形にせよ、私はハートの女王の相談に乗ったので。

これで任務完了、ということで良いですよね?






…と、思ったが。

招待状への道は、それほど甘くはなかった。