俺達がしがみついたフォークとスプーンを、メイドが掴んで持ち上げたとき。
正直、俺もシルナも、生きた心地がしなかった。
万が一メイドに気づかれたら、一貫の終わりだ。
今の俺達、デコピン一発で即死だからな。
デコピンどころか、大抵何をされても致命傷だよ。
スプーンにしがみついたまま運ばれる間は、いつ振り落とされると肝が冷えたが。
俺達はメイドに気づかれることなく、無事に食器棚に辿り着いた。
…死ぬかと思った。
今日だけで、もう何回死ぬかと思ったことか。
かろうじて、まだ生き延びてるよ。
「シルナ、シルナ無事か?」
「は、はぁ…。危なかった…」
無事のようだな。
どうやら、上手く食器棚に運んでもらえたらしい。
メイドが全ての食器を片付け終わるまで、俺達は用心して、食器の影に隠れておいた。
食器を片付け終わったメイドが、その場を立ち去って初めて。
俺達は食器の影から出て、ようやく食器棚の中を動き回った。
「広いな…」
食器棚の中って、こんなに広かったのか。
しかも、所狭しと食器が並べられていて、歩きにくいことこの上ない。
うっかり足を滑らせて、フォークの上にでも転んでみろ。
危うく死にかねんぞ。
命の危険が多過ぎる。
なんて物騒な『不思議の国のアリス』だ…。
いかにも、童話シリーズの魔法道具らしくなってきたな。
他の五人は大丈夫だろうか?
俺達でさえ、もう幾度となく命の危険に晒されたのだ。
恐らく他の五人も、似たような目に遭ってるんだろう。
簡単にやられるような奴らではないが、しかし心配せずにはいられなかった。
…まぁ、俺も、他人の心配をしているほど余裕はないんだが。
「あ、見て。羽久」
「あ?」
「鍋がある」
シルナは、食器棚にしまわれた片手鍋を指差した。
…あの鍋の中に、招待状が隠されているかもしれないんだよな。
可能性があるなら、出来れば鍋の中も探してみたい。
だが、それにはいくつものハードルがある。
俺達は片手鍋の近くまでやって来て、小高い丘のような鍋を見上げた。
「どうやってよじ登れば良いんだ…?」
「…うーん…」
たかが片手鍋でも、俺達にとっては氷山も同然だ。
簡単には登れない。
「鍋の持ち手に掴まれば、登れないかな…?」
…それは、俺も思ったけども。
口にするほど簡単なことではない。
「まず、どうやって持ち手に掴まるんだ?」
「う…。それは…」
鍋の持ち手を掴むのも、簡単ではない。
何やってんだろうな、俺達。マジで。
考えたら泣きたくなるから、考えるのやめよう。
「どっちかがどっちかを肩車したら、何とか届かないかな?」
と、シルナは提案した。
肩車か…。確かに、そうすればギリギリ届かなくもない…か?
やってみる価値はありそうだ。
…しかし。
「持ち手に手が届いたとしても…鍋の蓋は、どうやって開ける?」
ハードルは、それだけではないのだ。
例え鍋の上によじ登れたとしても、あの蓋を開けないことには、鍋の中は見えない。
…前途多難過ぎるな。
正直、俺もシルナも、生きた心地がしなかった。
万が一メイドに気づかれたら、一貫の終わりだ。
今の俺達、デコピン一発で即死だからな。
デコピンどころか、大抵何をされても致命傷だよ。
スプーンにしがみついたまま運ばれる間は、いつ振り落とされると肝が冷えたが。
俺達はメイドに気づかれることなく、無事に食器棚に辿り着いた。
…死ぬかと思った。
今日だけで、もう何回死ぬかと思ったことか。
かろうじて、まだ生き延びてるよ。
「シルナ、シルナ無事か?」
「は、はぁ…。危なかった…」
無事のようだな。
どうやら、上手く食器棚に運んでもらえたらしい。
メイドが全ての食器を片付け終わるまで、俺達は用心して、食器の影に隠れておいた。
食器を片付け終わったメイドが、その場を立ち去って初めて。
俺達は食器の影から出て、ようやく食器棚の中を動き回った。
「広いな…」
食器棚の中って、こんなに広かったのか。
しかも、所狭しと食器が並べられていて、歩きにくいことこの上ない。
うっかり足を滑らせて、フォークの上にでも転んでみろ。
危うく死にかねんぞ。
命の危険が多過ぎる。
なんて物騒な『不思議の国のアリス』だ…。
いかにも、童話シリーズの魔法道具らしくなってきたな。
他の五人は大丈夫だろうか?
俺達でさえ、もう幾度となく命の危険に晒されたのだ。
恐らく他の五人も、似たような目に遭ってるんだろう。
簡単にやられるような奴らではないが、しかし心配せずにはいられなかった。
…まぁ、俺も、他人の心配をしているほど余裕はないんだが。
「あ、見て。羽久」
「あ?」
「鍋がある」
シルナは、食器棚にしまわれた片手鍋を指差した。
…あの鍋の中に、招待状が隠されているかもしれないんだよな。
可能性があるなら、出来れば鍋の中も探してみたい。
だが、それにはいくつものハードルがある。
俺達は片手鍋の近くまでやって来て、小高い丘のような鍋を見上げた。
「どうやってよじ登れば良いんだ…?」
「…うーん…」
たかが片手鍋でも、俺達にとっては氷山も同然だ。
簡単には登れない。
「鍋の持ち手に掴まれば、登れないかな…?」
…それは、俺も思ったけども。
口にするほど簡単なことではない。
「まず、どうやって持ち手に掴まるんだ?」
「う…。それは…」
鍋の持ち手を掴むのも、簡単ではない。
何やってんだろうな、俺達。マジで。
考えたら泣きたくなるから、考えるのやめよう。
「どっちかがどっちかを肩車したら、何とか届かないかな?」
と、シルナは提案した。
肩車か…。確かに、そうすればギリギリ届かなくもない…か?
やってみる価値はありそうだ。
…しかし。
「持ち手に手が届いたとしても…鍋の蓋は、どうやって開ける?」
ハードルは、それだけではないのだ。
例え鍋の上によじ登れたとしても、あの蓋を開けないことには、鍋の中は見えない。
…前途多難過ぎるな。


