「はぁ…はぁ…」
慌てて振り向くと、そこにはもうネズミはいなかった。
…どうやら、諦めてくれたらしい。
穴の外までは追いかけてこないんだな。
餌を探していたと言うより、単に自分の縄張りに、知らない奴が入り込んだのが不快だったのかも。
…ともあれ、俺もシルナも生き延びたぞ。
早速、命の危機を感じたがな。
こんなミニチュアサイズじゃ、ネズミ一匹で命取りだ。
「はぁ…死ぬかと思った…」
ネズミだったから、まだマシだったよ。
あれが犬とか猫だったら、さすがに逃げられなかったと思うぞ。
…それで。
「…おい、シルナ。大丈夫か?」
「…はにゃほれふりゃ〜…」
大丈夫ではなさそうだな。
ネズミの脅威から逃れたシルナは、ぐるぐると目を回していた。
ご老人には刺激が強過ぎたのかもしれない。
無理もない。ご老人だからな。
しかし、今は目を回している場合じゃないんだよ。
「…しっかりしろ!シルナ!」
「ふにゃっ!!」
背中をバシンと叩くと、シルナは奇声をあげて飛び上がった。
正気に戻ったか?
何だかもう、砂漠を一つ越えたような気さえしてくるが。
進んだ距離は、全然大したことない。
最初にいた部屋の、隣の部屋に来ただけだからな。
まだ全然進んでない。
この部屋に、都合良く招待状が落ちていれば良いんだが…。
「…それで、ここは何処だ…?」
さっきいた部屋より、ずっと広いようだ。
しかも、カチャカチャ、ガチャガチャと騒がしい音がする。
これは何の音…かと思ったら。
「っ!シルナ、逃げろ!」
「ふぇっ!?わわわっ!!」
巨大な人影が迫り、危うく俺とシルナとプチッ、と踏み潰すところだった。
間一髪、俺達は横に躱して、足の裏で踏み潰されずに済んだ。
物陰に隠れて、俺達は巨大な人影を見上げた。
…人間だ。
原寸大、等身大の人間。
当然だが、今の俺達にとってはネズミなんかよりずっと巨大に見える。
しかも、普通の人間じゃない。
身体は人間なのに…顔は、ネズミだった。
「ひえっ…。ネズミ人間…?」
「…みたいだな…」
…こえー…。
あんなのにうっかり踏み潰されたら、ひとたまりもないぞ。
コスプレ…とかじゃないよな?
足元を彷徨くテントウムシに、注意しながら歩く人はいない。
切ないよな…。
俺達も普段、道を歩くとき…うっかり虫を踏み潰しながら歩いてるんだろうな。
申し訳ないことをした。
虫のサイズになって、初めて気づいた。
テントウムシだって、必死に生きてるんだってことを。
…いや、俺達はテントウムシではないけども。
「人間か…」
「ティーセットの世界」に来て、初めて見る人間だ。
白いコック帽を被り、白いコックコートに身を包んだ人間。
いや、顔がネズミだから、ネズミ人間と言うべきなんだろうけど。
ネズミが…コックみたいな格好をしている。
さっき俺達を追いかけたネズミの仲間…ではなさそうだな。
シェフがいるってことは、じゃあここは…。
「…ふわぁ…。良い匂いする〜…」
うっとりとした顔で、シルナが言った。
呑気だな、お前は本当に。
でも、確かに…部屋中が、甘い香りに包まれていた。
やはり間違いない。
ここは、何処かのお屋敷の厨房なのだ。
慌てて振り向くと、そこにはもうネズミはいなかった。
…どうやら、諦めてくれたらしい。
穴の外までは追いかけてこないんだな。
餌を探していたと言うより、単に自分の縄張りに、知らない奴が入り込んだのが不快だったのかも。
…ともあれ、俺もシルナも生き延びたぞ。
早速、命の危機を感じたがな。
こんなミニチュアサイズじゃ、ネズミ一匹で命取りだ。
「はぁ…死ぬかと思った…」
ネズミだったから、まだマシだったよ。
あれが犬とか猫だったら、さすがに逃げられなかったと思うぞ。
…それで。
「…おい、シルナ。大丈夫か?」
「…はにゃほれふりゃ〜…」
大丈夫ではなさそうだな。
ネズミの脅威から逃れたシルナは、ぐるぐると目を回していた。
ご老人には刺激が強過ぎたのかもしれない。
無理もない。ご老人だからな。
しかし、今は目を回している場合じゃないんだよ。
「…しっかりしろ!シルナ!」
「ふにゃっ!!」
背中をバシンと叩くと、シルナは奇声をあげて飛び上がった。
正気に戻ったか?
何だかもう、砂漠を一つ越えたような気さえしてくるが。
進んだ距離は、全然大したことない。
最初にいた部屋の、隣の部屋に来ただけだからな。
まだ全然進んでない。
この部屋に、都合良く招待状が落ちていれば良いんだが…。
「…それで、ここは何処だ…?」
さっきいた部屋より、ずっと広いようだ。
しかも、カチャカチャ、ガチャガチャと騒がしい音がする。
これは何の音…かと思ったら。
「っ!シルナ、逃げろ!」
「ふぇっ!?わわわっ!!」
巨大な人影が迫り、危うく俺とシルナとプチッ、と踏み潰すところだった。
間一髪、俺達は横に躱して、足の裏で踏み潰されずに済んだ。
物陰に隠れて、俺達は巨大な人影を見上げた。
…人間だ。
原寸大、等身大の人間。
当然だが、今の俺達にとってはネズミなんかよりずっと巨大に見える。
しかも、普通の人間じゃない。
身体は人間なのに…顔は、ネズミだった。
「ひえっ…。ネズミ人間…?」
「…みたいだな…」
…こえー…。
あんなのにうっかり踏み潰されたら、ひとたまりもないぞ。
コスプレ…とかじゃないよな?
足元を彷徨くテントウムシに、注意しながら歩く人はいない。
切ないよな…。
俺達も普段、道を歩くとき…うっかり虫を踏み潰しながら歩いてるんだろうな。
申し訳ないことをした。
虫のサイズになって、初めて気づいた。
テントウムシだって、必死に生きてるんだってことを。
…いや、俺達はテントウムシではないけども。
「人間か…」
「ティーセットの世界」に来て、初めて見る人間だ。
白いコック帽を被り、白いコックコートに身を包んだ人間。
いや、顔がネズミだから、ネズミ人間と言うべきなんだろうけど。
ネズミが…コックみたいな格好をしている。
さっき俺達を追いかけたネズミの仲間…ではなさそうだな。
シェフがいるってことは、じゃあここは…。
「…ふわぁ…。良い匂いする〜…」
うっとりとした顔で、シルナが言った。
呑気だな、お前は本当に。
でも、確かに…部屋中が、甘い香りに包まれていた。
やはり間違いない。
ここは、何処かのお屋敷の厨房なのだ。


