神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…つまり。

この暴走ホウキの名前は、『眠れる森の魔女』。

魔女の魔法をかけられたホウキだからこそ、自己治癒能力があったり、暴走して俺達を襲ってきたりと。

非常に攻撃的な魔法道具である、ということが発覚した。

相も変わらず、危険な魔法道具ばっか作ってんなぁ。

死人が出るぞ。

ナジュなんて、不死身じゃなかったら、土手っ腹貫かれた時点で死んでるし。

あのツキナって子だって、令月とすぐりがいなかったら危なかった。

生徒に被害が出るかもしれない、この危険な魔法道具をどうするか。

そんなことは決まっている。

律儀に、このホウキに付き合ってやる暇はない。

選択肢は一つしかないよな。

「…よし、燃やすか」

「えっ!」

「イレース、頼む」

「分かりました」

危険物は、さっさと取り除くに限る。

これ以上の被害が出る前にな。

イレースは、さっ、と杖を取り出した。

イレースに丸焦げにしてもらって、灰にしてしまおう。

それで一件落着、って奴だな。

…しかし。

「ちょ、ちょちょちょ、待って、イレースちゃん」

「…何です」

シルナは慌てて、イレースを止めた。

何故止める。

「そんな、一も二もなく燃やしてしまうなんて…」

「燃やす以外にどうするんです。燃えるゴミはさっさと燃やしてしまうに限ります」

イーニシュフェルトの里の魔法道具、燃えるゴミ扱い。

まぁ、実際燃えるゴミみたいなもんだ。

ただのゴミにしては、いささか物騒だがな。
 
「他に被害が出る前に、さっさと炭にしてしまいましょう」

「それは、まぁ…そうなんだけど…」

「何ですか、その煮え切らない返事は」

「…いや…実はね、私の記憶が正しければ、このホウキ…」

と、シルナが言いかけた、

そのとき。

「…!また動く!」

「何?」

令月とすぐりが、いち早く気づいた。

時を止められ、シルナによって簡易な封印を施されていたはずの暴走ホウキ、『眠れる森の魔女』が。

俺達の拘束を解いて、再び宙に浮いていた。

な…何だと?

俺の時魔法を、こんな…一時間足らずで解除し。

おまけに…簡易的な処置とはいえ、シルナの封印を自力で解くなんて。

ホウキの癖に、ポテンシャルが高過ぎ…、

「!!危ない!」

息を吹き返した『眠れる森の魔女』は、封じてくれた仕返しとばかりに、再び俺達に狙いを定めた。