そうか、間に合ったか…。

皆、無事だったんだな…。

…それは何よりだ。

「…で、俺だけ倒れてるのか…?」

「魔力の消費が激しかったし、出血もかなりしてたから」

あぁ、成程。

そういや、そうだったな。

俺、限界近くまで時魔法を使ってしまったんだ。

忘れてたのかって?あぁ、忘れてた。

頭が回らないんだよ。

「戻ってきてすぐ倒れたから…。天音君と交代で、一晩回復魔法をかけ続けて…」

そうだったのか。

「それから、丸二日寝てたよ。今は戻ってきて三日目」

…そうだったのか。

「そりゃ…迷惑かけたな…」

「迷惑どころか、君はMVPだよ。君が制限時間を延長してくれなかったら、ガラスのかぼちゃに気づいてくれてなかったら…私達、全員今頃、幽霊になってるところだったよ」

そうか。

幽霊か…。幽霊は…嫌だな。

戻ってこられて良かった。

「私達のことは気にしないで。とにかく、回復するまでゆっくり休んで」

「…あぁ…。そうさせてもらうよ」

さすがの俺も、今回は疲れた。

世界の時間を止めるなんて、そんな規格外の魔法を使うもんじゃないな。

まぁ、非常時だったから仕方ない。

…ともかく。

「『シンデレラ』は…もう、終わったんだな?」

「うん…。『シンデレラ』の物語は終わった。もう一度封印し直しておいたよ」

そうか。

もう、二度と出てくるなよ。

今度こそ、もう童話シリーズの魔法道具の相手をするのは御免だ…。