――――――次に、気がついたとき。

俺はベッドに寝かされ、真っ白な天井を
眺めていた。

…。

俺は手指を動かし、首を振った。

…動くな。普通に。

柔らかいシーツの感触も分かる。足の感覚もある。

幽霊になっても、五感というのは働くのだろうか。

…分からない。

頭が重くて、身体も重くて、思考がまとまらない。

俺は、どうなったんだ…?

ガラスの靴は…『シンデレラ』は?

シルナや、他の仲間達はどうなった…?

最悪俺が死んでいたとしても、シルナ達は無事でいて欲しいよな…。

俺はシーツに手をついて、上体を起こそうとした。

「うっ…ぐ…」

鉛のように身体が重くて、起き上がることさえ一苦労だった。

…すると。

「…!羽久…!」

俺がベッドでもぞもぞしているのを、聞きつけたのか。

焦り顔のシルナが、俺の前に現れた。

あぁ、シルナ…。

…足があるから、どうやら幽霊って訳じゃなさそうだな。

シルナが幽霊にならなくて、本当に良かった…。

安心すると気が抜けて、俺は再び、ふらふらとベッドに倒れ込んだ。

「羽久…!無理して動いちゃ駄目だよ」

慌てて、シルナが駆け寄ってきた。

シルナ、普通に喋ってる。

じゃ、やっぱり幽霊じゃないんだ…。

…いや、最近の幽霊は喋るんだっけ?

ドッペルゲンガーだって喋ってたんだから、幽霊が喋り出しても不思議じゃない…。

「あぁ…。死にそう…」

「死なないで、羽久。…折角、生きて戻ってこられたんだから」

「…」

…生きて…戻ってこられた…。

…そうなのか?

「俺、生きてるのか、シルナ…」

「うん、大丈夫。生きてるよ」

シルナは俺の手を握って、そう言った。

手の感触がする。ちゃんと…手の温もりを感じる。

…そうか。生きてるのか。

…そりゃ、良かったな…。

「他の、皆は…?イレースや、天音達は…」

「皆無事だよ。…間に合ったんだ」

「…そうか…」

心の底から安堵して、気力が抜け。

危うく、そのまままた意識を失うところだった。

…皆が無事で、本当に良かった。

自分が生き延びたことより、仲間が無事だったことの方に、安心した。