神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

「体調の方は大丈夫ですか?」

シュニィが、心配そうに聞いてきた。

「うん、凄く良くなったよ。昨日は折り紙教えてくれたし」

と、何故か俺じゃなくて、傍らにいたベリクリーデが答えた。

何でお前が答えるんだ?

ちなみに昨日折り紙を教えていたのは、俺が暇を持て余していたのと、ベリクリーデが何度も「大丈夫?」攻撃をしてくるので。

ちょっと、別のことで気を逸らそうと思って。

教えてみたけど、結局ベリクリーデは鶴どころか、紙飛行機さえくしゃくしゃにしてしまった。

お前はもう、不器用とか、そういう次元を超えてるな。

…それはともかく。

「もう大丈夫だよ。魔力もそこそこ回復したし…」

全回復はまだだが、普通に暮らせるほどには回復してる。

「そうですか…。ご無事で良かったです」

まぁ、俺は別に良いんだけどさ。

それよりも。

「キュレムとルイーシュは?どうしてる?」

ベリクリーデを断絶空間から救出する為に、あの二人にも相当無理をさせてしまった。

今頃、少しは回復してるだろうか?

「お二人共、既に通常任務に戻られていますよ」

と、シュニィが教えてくれた。

そうか…それは何よりだ。

「ただ、ルイーシュさんは…時間外労働手当を要求する、って仰っていましたが…」

ルイーシュはそうだろうな。

悪かったよ。

時間外労働手当じゃないが…今度何かお礼をするから、それで手打ちにしてくれ。

…それはそれとして。

「…シルナ・エインリー。わざわざあんたまでここに来たのは、聞きたいことがあるからだろ?」

回りくどく質問されるのは、まっぴらだからな。

だったら、聞かれる前に、俺の方から話してやるよ。

「聞きたいこと…は、勿論あるけど。君の無事を確かめたかったのが一番だよ」

それはそれは。

まぁ、そういうことにしておいてやるよ。

「まずは、ベリクリーデさんを含め、皆さんが無事に『オオカミと七匹の子ヤギ』の試練を乗り越えられたことを喜ぶべきでしょうね」

と、シュニィ。

あぁ…『オオカミと七匹の子ヤギ』なぁ。

前回の『白雪姫と七人の小人』と言い、今回の件と言い…。

イーニシュフェルトの里の童話シリーズには、酷い目に遭わされたもんだ。

しばらくはご遠慮願いたいな。

何なら、もう二度と出てこなくて良いぞ。

…多分、無理だろうけど。