神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

「…ねぇ、ジュリス」

「ん?」

「私のことは、別に良いんだよ。それよりジュリス…大丈夫?」

またその質問に帰ってくるのか。

お帰り。

「大丈夫だよ。何度言わせるんだ」

「良かったー」

やれやれ。

あと何回、同じやり取りを繰り返す羽目になるんだか…。

「…それで、ジュリスさー」

「うん?」

「あの変な剣って、ジュリスの剣なの?」

…さすがのベリクリーデも、忘れてはいなかったか。

そりゃそうだよなぁ。

「ジュリスがあんな剣使ってるの、私初めて見た」

だろうな。

俺も、初めて見せたよ。

一体何千年ぶりだろうな。

…二度と日の目を見ることはないと思って、封印していたんだが。

まさか、こんな形で再会する羽目になるとはな。

これも運命って奴なのか。

あの剣を見せたこと、後悔はしていない。

ベリクリーデを断絶空間から救い出すには、ああするしかなかったのだから。

他に手段が無いなら、剣を見せたことに後悔はない。

…まぁ、だからって、得意げに見せたかった訳じゃないけどな。

見せずに、使わずに済むものなら、一生封印しておきたかったよ。

ままならないもんだ。

「…ベリクリーデ。あの剣については…あんまり、吹聴しないでくれるか?」

「ふいっちょ?」

「言い触らさないでくれ、ってことだ」

「うん。分かった」

そうか。良かった。

「聞かれるの嫌なの?」

「そうだな…。あんまり、人に知られて嬉しいことじゃないな…」

嫌でも、思い出してしまうだろう?

あの剣を、この手に授けられた日のことを…。

「じゃあ、どうでも良いや」

ベリクリーデは、あっけらかんとして言った。

…どうでも良いって、お前…。

「ジュリスが話したくないことなら、別に知らなくても良いよ」

「…ベリクリーデ…」

「ジュリスがいて…元気でいてくれるなら、他はどうでも良い」

…嬉しいこと言ってくれるじゃねぇの。

「私、もうジュリスのこと絶対忘れないから。何があっても」

「…あぁ」

そうしてくれ。

俺も、絶対に忘れな…。

…忘れないって言うか、お前は忘れようとしても忘れられないだろ。

じゃ、心配要らないな。