神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…と、思ったんだけど。

あれから、また街の中をしばらく彷徨ってた。

駅って、難しいね。

覚えてると思ってたのに、全然覚えてなかったよ。私。

あの後、もう三人くらいに尋ねて道を聞いて。

「はー…。やっと辿り着いた…」

いつもの5倍くらい時間をかけて、ようやく辿り着いた。

遠かったよ。

多分、凄い遠回りしちゃったんだろうな。

…。

…で、駅に辿り着いたのはおめでたいんだけど。

「…どの列車に乗るんだっけ…」

駅の場所は、かろうじて分かっても。

今からどの列車に乗れば良いのか、さっぱり分からない。

広い駅の構内を、てくてくと歩く。

なんちゃら線の何番乗り場の普通列車だとか、かんちゃら線の何番乗り場の特急列車だとか、色んな列車がいっぱいある。

難しいや。

どれに乗れば、私は目的地に辿り着くんだろう…?

「うーん…」

…頭の中がぐちゃぐちゃになって、全然思い出せない。

確かシファちゃんと来たとき…。階段を上って、右に曲がったところにある改札を通ったような…。

…そうだったっけ?

よく分かんないや。

分からないなら、仕方ないよね。

じゃあ、人に聞いてみよう。

「ねぇ、お姉さん」

私は、近くを歩いていた、高い靴を履いたお姉さんに声をかけた。
 
お姉さん、その靴、踵がとんがってるよ。痛くないの?

「な、何か?」

「えぇっと…そうだな…。うーんと…あ、そうだ」

良いこと思いついた。

「私、南に行きたい。南に行くには、どの列車に乗れば良い?」

確か前も、南に向かって列車に乗ったんだよ。

東だったような気もするけど…でも、何だか東には、もう行きたくないや。

よし、南に行こう。

「南…?」

と、怪訝そうな顔をするお姉さん。

お姉さん、南知らないのかな。

北の反対が南なんだよ。豆知識だね。

「南方に行きたいなら…三番乗り場か、四番乗り場じゃないかしら…」

お姉さんが、眉をひそめながら教えてくれた。

三番か、四番ね。

分かった。

「うん、分かった。ありがとう」

「って言うか、あなた学校は…?」

「ちゃんと行くよ」

私はそう答えて、三番乗り場、と書かれた札の方に向かって歩いた。

三番乗り場には、たくさん列車が並んでいたけど。

一番近くにあった列車に乗り込んで、座席に座った。

南に向かって、レッツゴー。