神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

すると、パパは。

「成程…。そりゃまた変な夢を見てるな…」

気持ち悪がることなく、むしろ興味深そうにそう言った。

良かった。

頭がおかしくなったんじゃないか、とは言われなかった。

言われてみれば、このパパ。

私のやることなすことを、否定したことは一度もないね。

試験で0点取りまくったときも、庇ってくれたしね。

「いつからそんな夢を見てるんだ?」

いつから…?

「分かんない…。結構前から…」

「それならそうと、早く言ってくれれば良いものを」

だって…信じてもらえるか分かんなかったし。

人に相談して、どうにかなることだとは思えなかった。

「だが…お前は生まれたときから、ずっとここにいるぞ。お前に手を差し伸べた人…っていうのも、思い当たる節はないな」

…そうなんだ。

パパに相談して、何か分かることがないかと思ったけど…駄目だったか。

むしろ、謎が深まった。

幼い頃からここにいるなら、あの夢の中の景色は、一体いつ見たものなんだろう?

「私、何であんな夢見てるんだろう?」

「そうだな…。不思議なことがあるもんだが…」

パパは、少し考えるような顔をして。

そして、こう言った。

「…そんなに、深く考えなくて良いんじゃないか?」

え?

「…どうして?」

「難しく考えてるようだが…単に、昔見た映画やドラマの場面が、頭の中に残っていて…それを夢に見てるだけじゃないのか?」

え?そんなことあるの?

映画…は知ってるけど、どらまって何だろう。

映画の一種?

「パパもそんな夢を見ることある?」

「たまにな。さすがに、毎日って訳じゃないが…昔見た映画の景色を夢に見ることがある」

なんと。パパにもあるんだ。

じゃあ私の夢は、何も失った過去とかじゃなくて…。

…単に、昔見たお芝居の世界が、頭の中に残ってるだけ?

何処となく見覚えがあるのも、昔お芝居で見た世界だから?

…そうなの…?

「あとは…疲れてるのかもしれないな」

「疲れてるの?私」

「自覚はしてなくても、無意識に疲れることはあるぞ」

そうなんだ。

お疲れ様、私。

「あまり無理するなよ。夜更しせずに、夜はちゃんと寝ろ」

「うーん…。分かった」

寝てる…つもりなんだけどな。

如何せん、寝るといつも同じ夢を見るから、いまいち熟睡出来てないって言うか…。

あ、もしかしてそのせい?

眠りが浅くて夢を見る、夢を見るせいで眠れない…っていうのがループしてるんだろうか?

難しく考える必要なんてなくて、私にとってあの夢は、何の意味もないものだったんだ…。









…本当に?