のろのろ、とベッドの上に起き上がると。

「ほら、制服」

ジュリスが私のクローゼットから、制服のシャツとジャケットを持ってきてくれた。

寒いときって、着替えるとき、勇気が要るよね。

パジャマを脱ぎ捨てるときの、あの寒さと来たら。

もうこのまま、一日中パジャマで過ごしたい衝動に駆られるよ。

でも、そんなことは当然、ジュリスが許してくれない。

「早く着替えろ」

「うーん…。分かったー」

「ばっ…!俺の前で脱ぐなよ!」

パジャマを脱いだだけなのに、怒られた。

何で?ジュリスが着替えろって言ったのに。

「?」

「後ろ向いてるから!その間に着替えろ」

「うん、分かったー」

「…ったく…。女の部屋に入るってだけでも、要らぬ誤解を生みかねないのに…」

ジュリスが何か、ぶつぶつ言っていた。

…5階?

「ジュリス、着替えたー」

「よし…。…って、お前それ、シャツ裏返しじゃないか」

え?

ジュリスに指摘されて、自分の制服のシャツを見下ろすと。

内側にあるはずの白いタグが、ひょこっ、と表に出ていた。

おぉ…。道理で、ボタンがつけづらいなぁと思ってた訳だ。

成程なー。

「さっさと直せ」

「えー…。たまには裏返しのままでも…」

「みっともないから、早く直せ」

「…もー…ジュリスったら…」

「…何で、俺が我儘言ったみたいになってんだ…?」

仕方ないなぁ。ジュリスがそこまで言うなら。

寒いけど、もう一回脱いで、着替え直すよ。

「はい、着たよ」

「よし。じゃあ顔洗ってこい。支度が済んだら、すぐ出発するぞ」

え、すぐ?

「…まだ朝ご飯食べてないよ?」

「お前が早く起きないからだろ…。列車で移動しながら食べれば良いよ」

そっか。

じゃ、そうしよっと。