「…ん〜…」

目を開けた私は、見覚えのある白い天井を見て、内心ホッとした。

良かった。灰色じゃない。

私の目が悪くなった訳じゃなかったんだ。

それは安心したけど、同時に、強烈な眠気が襲ってきた。

眠い。まだ眠いよ。

ずーっと浅く夢を見ていたせいか、全然熟睡出来てない…。

しかし、ベッドでころころしているようなことは、彼が許さない。

「おい、さっさと起きろ。今何時だと思ってるんだ」

「あぅ〜…。…ジュリス〜…」

「ジュリス〜じゃねぇよ」

薄っすらと目を開けてみると、聖魔騎士団の制服に身を包んだジュリスが、呆れた様子で私を見下ろしていた。

…わー。ジュリスだー。

…今日も格好良いね。

でも、眠いものは眠い。

「お前って奴は。毎日、起こされるまで寝てんじゃねぇ」

ここ連日、朝はジュリスが起こしに来てくれる。

ウェイクアップコール、って奴だね。

「だって〜…。最近、寒くて…起きるの辛い」

「変温動物か?お前は。ヘビかよ」

ヘビは嫌だな。

もっと可愛い動物が良い。…カバとか。

「良いから起きろ。今日は、朝イチで南方都市シャネオンに行くんだぞ」

「…しゃねおん…?」

「昨日、散々説明しただろうが。『サンクチュアリ』の残党がいないか、調査しに行くんだよ。あそこは『サンクチュアリ』の活動拠点の一つだからな」

…『サンクチュアリ』…。

…って、何だっけ?

何だか聞いたことのあるような、ないような…。

「…さてはお前、『サンクチュアリ』を忘れた訳じゃないだろうな?」

ぎくっ。

ジュリスってば、何でそんなことまで分かるの?

「…覚えてるよ?」

「嘘だな」

一瞬でバレた。

凄い。さすがだなぁ、ジュリス。私のこと、よーく分かってる。

「はぁ…全くお前って奴は…」

額に手を当てて、天を仰ぐジュリス。

「…もう良い。分かった。道中でまた説明する」

「ありがとー」

「それは良いとして、とにかく早く起きろ。列車に遅れるだろ」

「…まだ起きたくない…」

枕を抱き締めて、ベッドの中でもぞもぞ。

まだ眠いんだもん。

しかし。

「子供みたいな駄々を捏ねるな。起きろと言ったら起きろ!」

「あ〜」

強制的に、毛布を引っ剥がされ。

お休みの時間は、呆気なく終わった。