神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

後ナジュは、びしっと先ナジュを指差した。

「そして、僕はあなたが偽物だと知っています」

「それはこっちの台詞ですよ。僕が本物と偽物の区別もつかないとお思いで?」

…そう言われると、やっぱり両方本物に見える。

…どうやって区別したら良いのか…。

「ま、まぁまぁ…偽物だろうと本物だろうと、まずはチョコプラリネを食べて落ち着こうよ」

シルナが、後から来た後ナジュにも、チョコプラリネを差し出していた。

偽物にチョコ食わしてどうするんだよ。

…うーん…そうだな。

何とか、見分けがつかないものか…。

…あ、そうだ。

「ナジュ、今日の職員会議…遅刻の動機は?」

俺の質問に、先に答えたのは先ナジュだった。

「朝から生徒に媚びを売ってたら、つい時間が経っちゃって」

成程、ナジュらしい。

「じゃあ後ナジュは?」

「朝までリリスとイチャついてたら、時間が経つのを忘れてました」

成程、こちらもナジュらしい。

区別がつかないな。

「…じゃあ、本日の放課後の予定は?」

俺は、ダメもとで二問目の質問をしてみた。

すると、まずは後ナジュが答えた。

「放課後ですか?稽古場に行って、生徒に媚びを売ってきます」

成程、さっき聞いたな。

それから、次に先ナジュが答えた。

「放課後はですね、リリスとイチャついてきます」

成程、これもさっき聞いたな。

俺には、到底区別がつかんわ。

「…どちらもろくでなしで、もうどちらが本物だろうと、どうでも良いですね」

ペッ、と吐き捨てるようにイレースが言った。

気持ちは分かるが、諦めるのはまだ早いぞ。

何とか…本物のナジュを見分ける方法がないものか。

「…僕はあなたが偽物だって分かってるんですよ。心を読めば一目瞭然です…。空っぽじゃないですか」

後ナジュが、じろっと先ナジュを睨んでいたが。

「僕だって同じことを考えてますよ…。でも、あなたが本当に僕の心を読めているのかは疑問ですね。そういうフリをしているだけかもしれない」

「それはあなたもでしょうよ」

…まぁ、どちらかが嘘をついているのは確実なんだけど…。

結局、俺達には区別をする方法がないから…。

先ナジュもまた、後ナジュを睨んでいた。

…うーん…難しい…。

「…あ、そうだ」

と、天音が何かを閃いた。

…?