神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

ようこそ、いらっしゃい。

「おはようございます。皆さんお揃いで」

遅刻しておいて、なんともいけしゃあしゃあと。

「…あなたは職員会議に遅れてきた訳ですが、何か言うことは?」

じろり、睨むイレースに。

「ヒーローは遅れてやってくる、って奴ですね」

どやぁ、と何故か得意げなナジュであった。

…お前…。

「成程、朝から丸焼きになりたい気分なんですね」

「ちょ、イレースさん。イレースさん落ち着いて?ナジュ君が燃えちゃう」

杖を取り出そうとするイレースを、天音が止めていた。

良かったな、ナジュ。止めてくれる天音がいて。

危うく、ドッペルゲンガーイレースと同じ運命を辿るところだったぞ。

「良いところに!さぁさぁナジュ君、チョコプラリネどうぞ」

「お、良いですね。ありがとうございます」

遅刻してきたのを、まるでなかったかのように。

もぐもぐと、シルナの手渡すチョコプラリネを齧るナジュである。

自由な奴だよ、全く…。

そして、危機感というものを全く感じない。

「…なぁ、ナジュ。お前分かってるか?」

「はい?」

「順当に行けば、次現れるドッペルゲンガーは、俺かお前なんだぞ。少しは危機感ってものを…」

「イケメンカリスマ教師が二人!良いじゃないですか。早く現れないかな〜」

…お前に危機感を求めた、俺が馬鹿だったよ。

なんか、俺が心配し過ぎみたいに思われるかもしれないけど。

ナジュの危機感がなさ過ぎるだけだからな。

そりゃお前は良いよ。読心魔法を使えば、どちらが偽物かすぐに分かるんだからさ。

だけど、俺はそうは行かないんだぞ。

「よしっ。全員にチョコが行き渡ったことだし…。まず今日最初の議題は、昼休みに配るお菓子について、」

「下らない菓子の予算を削る為の決議を始めましょう」

「嫌ぁぁぁぁイレースちゃん!お慈悲を〜っ!!」

…なんか、こんなやり取り見てるとさ。

俺の悩みって、凄くどうでも良いことのように思えてくるな。

…と、考えていたそのときだった。

「おはようございまーす」

ガチャッ、と部屋の扉を開けて。

…ナジュが、学院長室に入ってきた。

…!?