神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…何だよ。

珍しく、まともに職員会議してたっていうのに。

止めるんじゃない。

「話し合う前に、チョコを…チョコレートを全員に配りたいと思う!」

勝手にしろよ。

って言うか…。

「もう配っただろ、全員」

「まだだよ。だって、まだナジュ君にあげてないもん」

あっそ。

だったら、さっさとあいつにもチョコを…。

…ん?

俺は、きょろきょろと学院長室内を見渡した。

…自分のドッペルゲンガーへの不安で、つい見落としていたが。

「それじゃあナジュ君にもチョコを…って、あれ?」

シルナも、気づいたようだな。

きょろきょろと、室内を見渡すシルナ。

「…あれ!?ナジュ君は!?」

ナジュがいないことに、ようやく気づいた俺達である。

「イレース…天音、お前達は気づいてたか?」

「何を?」

「ナジュがいないこと…」

「あんな破廉恥教師一人くらい、会議の場にいなくても何の支障もありません」

イレース、手厳しい。

「えーっと…。僕は気づいていたけど…寝坊なのかなと思って」

天音も気づいてたのか。

気づいてなかったの、俺とシルナだけかよ。

…あいつ、何処行ったんだ?

マジで寝坊?

「教師としての自覚がありませんね」

「ま、まぁ。たまには許してあげようよ…」

イレースの辛辣な一言を、天音が宥めていた。

まぁ…あいつは、あれだよ。

日頃の行いって奴がな?

…って言うか、ナジュの奴。

順当に行けば、残るドッペルゲンガーは、俺とナジュの二人なんだぞ。

不安じゃないのか?ドッペルゲンガーが出てくるかもしれないって…。

あいつ、自分は読心魔法が使えるから、例えドッペルゲンガーが出てきても、自分だけは見分けがつくから大丈夫だと、たかを括ってるのかも。

羨ましい話だ。

俺には読心魔法なんか使えないから、自分の偽物を、偽物を証明する証拠がないんだぞ。

「ナジュ君にもチョコプラリネを食べてもらわなくちゃ…!よし、呼んでこよう!」

そっちかよ。

チョコプラリネの為じゃなくて、会議の為に呼べよ。

と、思ったそのとき。

「遅れ馳せながら、失礼しまーす」

「あ、ナジュ…」

待ってましたと言わんばかりに、ナジュがやって来た。