神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…その後。

「…呆気なかったな…」

「うん…」

俺は雷で焼け焦げたゴミを、シルナと二人で拾っていた。

既に、この部屋にイレースはいない。

自分の偽物を丸焦げにし、消し炭にしたイレースは。

「さて、忌々しいドッペルゲンガーも退治したことですし、私は仕事に戻ります」

と、何事もなかったように、職員室に戻ってきた。

な?言ったろ?

あの肝の太さ。やっぱり一回目イレースが本物だったのだ。

イレースの言っていた通り、あの二回目イレース、最後の最後でボロを出してたしな。

本物のイレースは、杖を向けられたくらいで狼狽えないよ。

いかに本物そっくりのドッペルゲンガーでも、タイマンで勝負すると、やはり本物には敵わないということなのかもしれない。

それにしても。

いかに偽物と言えど、自分と同じ顔をした人物を、こうも容赦なく丸焦げにしてしまえるとは。

いやはや、全く末恐ろしい…。

これで、退治したドッペルゲンガーは五体。

めちゃくちゃあっさりだったせいで、何か裏があるんじゃないかと疑ってしまうが…。

着々とドッペルゲンガーを退治出来て、それは良いことだ。

…良いことなんだけど。

「…お前、早いところ書類、仕上げろよ」

俺はシルナにそう忠告した。

「明日までに出来なかったら、どうされるか分かったもんじゃないぞ」

何せ、自分の偽物を容赦なく丸焦げにしたイレースだからな。

うっかり、シルナも黒焦げだ。

「うん…。私も、激しい焦りを感じてるところだよ…」

だろうな。

本物に勝る偽物などいない。

それを、再確認させられたよ。