神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

「学院内に…イレースが二人いるのか…」

…冷静に考えると、アレだな。

本物そっくりのイレースが二人…。

…怖っ。

色々な意味で怖いよ。

でも、片方はイレースの偽物だから。

偽物には、早々に退場してもらわなければならない。

あのイレースが二人もいるなんて、恐ろしいことこの上ない。

一人で充分だ。一人で。

「一応聞いておくけど…イレース」

俺は、今ここにいる…そうだな、本日二回目にやって来たイレースだから、二回目イレースと呼ぼう。

最初に来た方のイレースは、一回目イレースだな。

「何です」

「お前って…ドッペルゲンガーなのか?」

「残念でしたね。私が本物です」

そ、そうなのか…。

いや…本物と区別出来る要素がないから、本人の証言をそのまま信じる訳にはいかないのだが…。

どちらがドッペルゲンガーなのだとしても、あまりにももう一方とそっくり過ぎて、区別が出来ない。

「とりあえず…もう一人の…一回目イレースを呼んでくるか」

「…そうだね…」

二人並べて、見比べてみよう。

そうしたら、二人の違いが見えてくるかもしれない。

二人のイレースのうちどちらかが、「こいつがドッペルゲンガーである」と見抜けるかもしれない。

同じように、お互いがお互いを偽物だと主張するかもしれないけどな。
 
とにかく、偽物が取り返しのつかないことをする前に…二人を並べて見比べてみよう。

俺はすぐさま、イレースを呼びに職員室に向かった。