直樹と糸山が揉めているのを見かねた先輩の王者和田が直樹に近づく....

和田政秋。
母は日本人だが、父は米軍基地に勤務する黒人兵士。政秋が生まれると、アメリカへ帰国してしまい。それ以来、音信不通。政秋は母親の手ひとつで育てられた。
容姿は黒人だが...もちろん日本人。

直樹も幼いころ両親が離婚。父と暮らしている。

そんな境遇を知る和田はことのほか直樹を可愛がってくれる。弟のように。

直樹。お前が後楽園ホールにこだわるのは判る。友達に見てもらいたいって気持ちも理解出来るが、ジムの方針ってのがあるんだ。

社会に出れば自分の思い通りにはならない。組織に従わなければならない時だってあるんだ。

試合だって、相手がいなけりゃ戦う事すら出来ないんだ
ボクサーは決まった試合に勝つ事だけ考えろ!

直樹は和田の言葉に渋々頷いた...

和田はそんな直樹に慈しむように笑顔を向け声を張り上げる

直樹!それより練習だ!早くリングに上がれ!

はい!
直樹も笑顔で応える

ボクサーは勝つことだけ考えるんだ。

そうだ!後楽園ホールで戦うなんていつでも出来るんだ。

勝てばいいんだ。

強ければ。強くなれば。それでいいんだ....そう信じていれば...