こんちは!

そこへ右目に眼帯をした和田がやって来た。
和田は神妙そうに頭を下げる直樹に気が付くと右ストレートを打つそぶりをしながら声をかけた。
直樹!久しぶりだな!元気してたか?

先輩。ご無沙汰してすみませんでした
怪我大丈夫なんですか?

一瞬、和田の顔が曇った

ああ!どうってことないっさ!
和田は糸山へ踵を返すと
糸山さん!
どうってことないんで試合受けてください!

糸山は戸惑いながら
本当に大丈夫なのか?
怪我の具合は試合までに治るんだろうな?

もちろんすよ!1週間もすりゃ治るそうです
俺はチャンピオンですから!

糸山は和田の明るい表情に頬を緩めながら
そうか?心配したぞ〜
じゃあいいんだな?防衛戦の話受けとくぞ?

ええ!お願いします。叩きのめしてやりますよ!

和田は人気絶頂の10連続KO中の若手ボクサーから挑戦を打診されていた。

和田は直樹の方へ振り向くと
俺はチャンピオンだからな
誰の挑戦でも受ける!逃げはしない。相手が誰だろうと

直樹は自分が恥ずかしかった。
和田は逃げない。怪我を理由に決して逃げようとはしない。

逃げてはいけないんだ.......