【第一話】
◯電車の中(下校時)
ほのか(凛とした花のように美しいその人が、突然現れた)
混雑した電車内で突然、緊張した面持ちの薔に話しかけられるほのか
薔の容姿が整いすぎていてほのかは思わずフリーズしてしまう
ほのかは普通の高校の制服を着ている
薔は学院の制服(女子生徒用)に黒いケースに入った長い何か(神剣)を背負っている
薔「すみません、この後時間あったりしますか?」
ほのか(うわっ、凄まじいイケメン……!)
(……って、あれ!?よく見たらスカート履いてるし、髪も長い!?まさかの女の子!?!?)
薔「その、なんというか……怪しまれても仕方ないのは承知の上です。ほんの少しでいいので話をさせてもらえませんか」
ほのか(……えっ、何!?まさか私に話しかけてる訳!?!?)
ほのか「────っい、いい、いいですよ!?あっ、でも電車の中だとアレですし次の駅で降りましょうか!??」
薔「……ありがとう」
表情を緩め、安堵の笑みを浮かべる薔
ほのか(いや、微笑みがサマになりすぎてません???ってか、スタイルもめちゃくちゃ良い……コスプレイヤー?宝塚スター?芸能人?女子校だったら間違いなく王子様って崇められちゃうタイプの人だ)
ほのかが薔に見惚れているうちに電車は隣の駅へと到着した
先に電車を降りる薔の背中を追うほのか
ほのか(私、今……すごくドキドキしてる)
(なんだろう、何かが起きるような……そんな気がして、仕方ない)
薔のことを女の子だと勘違いしているものの、何かが始まるような予感を覚えるほのか
◯久遠学院・二年生の教室(朝礼)
ほのか(────いや、だからってこんなことになるとは思ってなかったんだけど)
げっそりとした様子のほのか
あやめ先生「という訳で!噂の編入生ことほのかちゃんでーす!みんな仲良くしてあげてねーー!」
ギャルのような口調で楽しげに話すあやめ先生
あやめ先生の隣、黒板を背に立つほのか
教室にはクラスメイトの琥珀、珊瑚、玉縁の後姿
あやめ先生「ほのかについてみんなもう知ってると思うけど、せっかくだし一応自己紹介しとく?」
ほのか「え、そうなんですか。私はみなさんと完全に初めましてなんですけど」
あやめ先生「そりゃそうよー!だって、あの薔様が直々にスカウトしてきた逸材だもの!アタシたちどころか業界全体でほのかのことが話題になってるわよ」
ほのか「業界全体って……そんな大袈裟な」
あやめ先生「いや、マジだから。私たちからすると、ほのかはちょっとトンデモない存在なのよ」
ほのか(『ちょっとトンデモない』ってそれはトンデモないのかそうじゃないのかよく分かんないんだけど)
あやめ先生の言葉を苦笑いで流すほのか
ほのか(佐倉ほのか 高校二年生)
(あの日、私は────ドえらいイケメンこと三年の久遠薔先輩に神託巫女にならないかとスカウトされた)
(神と呼ばれる人智を超えた存在と言葉を交わすことのできる稀少な人間、それが神託巫女)
(そして、ここは神託巫女を育成するための久遠学院)
(スカウトから二週間、トントン拍子で話が進んでなぜか私はここにいる)
★ほのかの回想開始
薔「大丈夫、すぐに決める必要はないから」
薔「とりあえず見学だけでも」
薔「先生も生徒も女性ばかりだから過ごしやすいと思うよ」
薔「私としては……ぜひ君に学院へ来てほしい。ほのかには間違いなく神託巫女の才があるから」
薔「心配しないで。私がちゃんとサポートする、だから────」
態度そのものはクールなのに、積極的にほのかへ言い募る薔
薔の勢いに負け、頭から湯気を出しながら頷いてしまうほのか
ほのか(……押しに押され、流れに流された自覚はある、だって、だって)
(綺麗なお姉さんに迫られてイヤな気はしないもの!!!圧倒的な美!!!)
白薔薇を背景に背負った薔の描写
ほのか(それに久遠先輩が言うには『学院に入学したからといって必ずしも神託巫女にならなきゃいけない訳じゃない』『神託巫女見習いとして務めを果たすと報酬が支給される』らしいし……それに『君がその才能を開花させずにいるのはあまりにも惜しい』って……わわわ、思い出したらまた顔が熱くなってきた)
ほのか(ほんと、久遠先輩って美人なのに妙にかっこよくて心臓に悪い……ああ、ダメダメ!!自己紹介しなきゃなんだってば!)
★ほのかの回想終了
気を取り直してクラスメイトの三人に自己紹介をするほのか
「ええっと、佐倉ほのかです。先生からも説明があった通り、久遠先輩に声を掛けていただいて、こちらの学院でお世話になることになりました。これからよろしくお願いします!」
クラスメイトの琥珀、珊瑚、玉縁がニコニコした様子でほのかの方を見ている
琥珀「ふーん、なるほどね……薔様が声掛けたってのも頷けるわ」
あやめ先生「やっぱアンタたちも分かっちゃう?アタシもさー、久遠の……じゃなかった、薔様がナンパしたなんて聞いた時はびっくりしてひっくり返りそうになったんだけど、実際ほのかに会ってみて納得しちゃった」
珊瑚「確かにとんでもない霊力持ってんな……!この子が噂の『神楽姫』かぁ!!」
玉縁「珊瑚、落ち着いて。ほのかちゃん、びっくりしてる。でも、そっか……神楽姫と同級生になれるなんて光栄だわ」
琥珀「ホントに。まさか同世代に現れるとは。何にせよ、これからよろしくね。ほのか」
ほのか(なんか驚かれてるみたいだけど、歓迎されてる……のかな?うん、歓迎されてるみたい!良かった!)
クラスメイト三人とあやめ先生の様子にほっと一安心するほのか
しかし、神楽姫という言葉と話の内容が気になる
ほのか「うん、こちらこそこれからよろしく!えっと、それで、その……神楽姫っていうのは……?」
あやめ先生&クラスメイト三人「えっ」
ほのか「えっ」
◯久遠学院・グラウンド(午前の授業)
二・三年生合同の体術の授業
他の生徒や先生たちがグラウンドで稽古に励んでいる中、見学のほのかと休憩中の薔(授業のためジャージ姿)はベンチに座りながら話をする
ほのかと薔の頭上には咲き誇る藤棚がある(春の景色)
薔「先に色々話しすぎると混乱するんじゃないかと思って、あえて黙ってたんだけど……神楽姫については説明しておくべきだった。すまない」
ほのか「い、いえ……というか、久遠先輩の仰る通りだと思います。正直、先生たちに説明してもらった今もよく分かっていないというか」
薔「だろうね。それに、君が神楽姫だっていう確証も今の時点ではない────全ては神々次第さ」
ほのか(神を楽しませる姫、と書いて神楽姫)
(神託巫女の中でもひときわ強い霊力を持っていて、何より────神に愛される才を持つ存在)
(ただその場にいるだけで神を上機嫌にさせる、数百年に一人しか生まれない特別な神託巫女)
(生まれてこの方、自分がそんな特別な存在だと思ったことなんてないんだけどな……見た目だってめちゃくちゃ普通だし)
(それこそ、久遠先輩の方がよっぽど姫っぽいけど)
(……ジャージ姿なのに優雅な雰囲気纏ってるの、おかしくない?)
思わずじっと薔を見つめながら考えるほのか
(見た目だけじゃない。言葉遣いや振る舞い、それに心もとびきり美しくて、気高くて、それで)
薔「────仮に、君が神楽姫でなかったとしても」
薔の言葉にハッと我に返るほのか
薔「声を掛けずにはいられないほど、私が君に何かを感じたのは事実だから」
ほのか(…………ひぃぃぃ、ホント!!久遠先輩!!同性だって分かってても、そういうこと言われると動悸が止らなくなるってば!!!)
薔「これからよろしくね、ほのか」
ほんの少し頬を染めて、はにかみながら笑う薔
耐えきれず真っ赤になって照れるほのか
◯電車の中(下校時)
ほのか(凛とした花のように美しいその人が、突然現れた)
混雑した電車内で突然、緊張した面持ちの薔に話しかけられるほのか
薔の容姿が整いすぎていてほのかは思わずフリーズしてしまう
ほのかは普通の高校の制服を着ている
薔は学院の制服(女子生徒用)に黒いケースに入った長い何か(神剣)を背負っている
薔「すみません、この後時間あったりしますか?」
ほのか(うわっ、凄まじいイケメン……!)
(……って、あれ!?よく見たらスカート履いてるし、髪も長い!?まさかの女の子!?!?)
薔「その、なんというか……怪しまれても仕方ないのは承知の上です。ほんの少しでいいので話をさせてもらえませんか」
ほのか(……えっ、何!?まさか私に話しかけてる訳!?!?)
ほのか「────っい、いい、いいですよ!?あっ、でも電車の中だとアレですし次の駅で降りましょうか!??」
薔「……ありがとう」
表情を緩め、安堵の笑みを浮かべる薔
ほのか(いや、微笑みがサマになりすぎてません???ってか、スタイルもめちゃくちゃ良い……コスプレイヤー?宝塚スター?芸能人?女子校だったら間違いなく王子様って崇められちゃうタイプの人だ)
ほのかが薔に見惚れているうちに電車は隣の駅へと到着した
先に電車を降りる薔の背中を追うほのか
ほのか(私、今……すごくドキドキしてる)
(なんだろう、何かが起きるような……そんな気がして、仕方ない)
薔のことを女の子だと勘違いしているものの、何かが始まるような予感を覚えるほのか
◯久遠学院・二年生の教室(朝礼)
ほのか(────いや、だからってこんなことになるとは思ってなかったんだけど)
げっそりとした様子のほのか
あやめ先生「という訳で!噂の編入生ことほのかちゃんでーす!みんな仲良くしてあげてねーー!」
ギャルのような口調で楽しげに話すあやめ先生
あやめ先生の隣、黒板を背に立つほのか
教室にはクラスメイトの琥珀、珊瑚、玉縁の後姿
あやめ先生「ほのかについてみんなもう知ってると思うけど、せっかくだし一応自己紹介しとく?」
ほのか「え、そうなんですか。私はみなさんと完全に初めましてなんですけど」
あやめ先生「そりゃそうよー!だって、あの薔様が直々にスカウトしてきた逸材だもの!アタシたちどころか業界全体でほのかのことが話題になってるわよ」
ほのか「業界全体って……そんな大袈裟な」
あやめ先生「いや、マジだから。私たちからすると、ほのかはちょっとトンデモない存在なのよ」
ほのか(『ちょっとトンデモない』ってそれはトンデモないのかそうじゃないのかよく分かんないんだけど)
あやめ先生の言葉を苦笑いで流すほのか
ほのか(佐倉ほのか 高校二年生)
(あの日、私は────ドえらいイケメンこと三年の久遠薔先輩に神託巫女にならないかとスカウトされた)
(神と呼ばれる人智を超えた存在と言葉を交わすことのできる稀少な人間、それが神託巫女)
(そして、ここは神託巫女を育成するための久遠学院)
(スカウトから二週間、トントン拍子で話が進んでなぜか私はここにいる)
★ほのかの回想開始
薔「大丈夫、すぐに決める必要はないから」
薔「とりあえず見学だけでも」
薔「先生も生徒も女性ばかりだから過ごしやすいと思うよ」
薔「私としては……ぜひ君に学院へ来てほしい。ほのかには間違いなく神託巫女の才があるから」
薔「心配しないで。私がちゃんとサポートする、だから────」
態度そのものはクールなのに、積極的にほのかへ言い募る薔
薔の勢いに負け、頭から湯気を出しながら頷いてしまうほのか
ほのか(……押しに押され、流れに流された自覚はある、だって、だって)
(綺麗なお姉さんに迫られてイヤな気はしないもの!!!圧倒的な美!!!)
白薔薇を背景に背負った薔の描写
ほのか(それに久遠先輩が言うには『学院に入学したからといって必ずしも神託巫女にならなきゃいけない訳じゃない』『神託巫女見習いとして務めを果たすと報酬が支給される』らしいし……それに『君がその才能を開花させずにいるのはあまりにも惜しい』って……わわわ、思い出したらまた顔が熱くなってきた)
ほのか(ほんと、久遠先輩って美人なのに妙にかっこよくて心臓に悪い……ああ、ダメダメ!!自己紹介しなきゃなんだってば!)
★ほのかの回想終了
気を取り直してクラスメイトの三人に自己紹介をするほのか
「ええっと、佐倉ほのかです。先生からも説明があった通り、久遠先輩に声を掛けていただいて、こちらの学院でお世話になることになりました。これからよろしくお願いします!」
クラスメイトの琥珀、珊瑚、玉縁がニコニコした様子でほのかの方を見ている
琥珀「ふーん、なるほどね……薔様が声掛けたってのも頷けるわ」
あやめ先生「やっぱアンタたちも分かっちゃう?アタシもさー、久遠の……じゃなかった、薔様がナンパしたなんて聞いた時はびっくりしてひっくり返りそうになったんだけど、実際ほのかに会ってみて納得しちゃった」
珊瑚「確かにとんでもない霊力持ってんな……!この子が噂の『神楽姫』かぁ!!」
玉縁「珊瑚、落ち着いて。ほのかちゃん、びっくりしてる。でも、そっか……神楽姫と同級生になれるなんて光栄だわ」
琥珀「ホントに。まさか同世代に現れるとは。何にせよ、これからよろしくね。ほのか」
ほのか(なんか驚かれてるみたいだけど、歓迎されてる……のかな?うん、歓迎されてるみたい!良かった!)
クラスメイト三人とあやめ先生の様子にほっと一安心するほのか
しかし、神楽姫という言葉と話の内容が気になる
ほのか「うん、こちらこそこれからよろしく!えっと、それで、その……神楽姫っていうのは……?」
あやめ先生&クラスメイト三人「えっ」
ほのか「えっ」
◯久遠学院・グラウンド(午前の授業)
二・三年生合同の体術の授業
他の生徒や先生たちがグラウンドで稽古に励んでいる中、見学のほのかと休憩中の薔(授業のためジャージ姿)はベンチに座りながら話をする
ほのかと薔の頭上には咲き誇る藤棚がある(春の景色)
薔「先に色々話しすぎると混乱するんじゃないかと思って、あえて黙ってたんだけど……神楽姫については説明しておくべきだった。すまない」
ほのか「い、いえ……というか、久遠先輩の仰る通りだと思います。正直、先生たちに説明してもらった今もよく分かっていないというか」
薔「だろうね。それに、君が神楽姫だっていう確証も今の時点ではない────全ては神々次第さ」
ほのか(神を楽しませる姫、と書いて神楽姫)
(神託巫女の中でもひときわ強い霊力を持っていて、何より────神に愛される才を持つ存在)
(ただその場にいるだけで神を上機嫌にさせる、数百年に一人しか生まれない特別な神託巫女)
(生まれてこの方、自分がそんな特別な存在だと思ったことなんてないんだけどな……見た目だってめちゃくちゃ普通だし)
(それこそ、久遠先輩の方がよっぽど姫っぽいけど)
(……ジャージ姿なのに優雅な雰囲気纏ってるの、おかしくない?)
思わずじっと薔を見つめながら考えるほのか
(見た目だけじゃない。言葉遣いや振る舞い、それに心もとびきり美しくて、気高くて、それで)
薔「────仮に、君が神楽姫でなかったとしても」
薔の言葉にハッと我に返るほのか
薔「声を掛けずにはいられないほど、私が君に何かを感じたのは事実だから」
ほのか(…………ひぃぃぃ、ホント!!久遠先輩!!同性だって分かってても、そういうこと言われると動悸が止らなくなるってば!!!)
薔「これからよろしくね、ほのか」
ほんの少し頬を染めて、はにかみながら笑う薔
耐えきれず真っ赤になって照れるほのか