だけど、その暴言はセールスマンには届いていなかった。

股間に鉄拳を食らわされるという微妙な攻撃に、

気を失っていたのだ。


すると、あたしを縛っていた英単語も消えた。


「お、恐ろしい相手だった」

半月ソルジャーは冷や汗を拭うと、あたしの方に体を向け、握手を求めた。

「ナイス!パンツ!じゃない…ナイス、ファイト!」


「ふざけるな!」  

あたしは飛び蹴りを、半月ソルジャーに食らわした。

足が、半月ソルジャーの顔面に食い込んだ。

「……ま、また見えてるぞ!」

倒れながらも、パンツを見る半月ソルジャー。

「きゃ!」

あたしは慌てて、スカートを押さえた。


「フッ」

なぜか…鼻血を流しながらも、不敵に笑う半月ソルジャー。

リモコンを操作すると、月影ロボは廊下を歩いて、消えていく。

「月影ロボは、君のピンチのときには、どこからともなく現れる!」



「そんなことより!こいつと、あんた!そして、この姿は何なのよ!」

「それはな!」

半月ソルジャーは鼻血を拭わずに、あたしに背を向けて、話しだす。




「いかがでしたか?乙女戦隊月影!楽しんでくれたかな?まだまだ謎はつきないけど!お兄さん、次回も頑張るぞ」

ガッツポーズをとる半月ソルジャー。

「誰と話してるのよ!」

「次回!乙女戦隊月影!第二話!【新たなる戦士】!!」

「ちょっと!あたしを無視するな!」

「お楽しみに!」

そして、またポーズを決めると、

「月の裁きを、心して見やがれええ!」

と言いながら、ダッシュで廊下を走り抜けていく。

「ちょっと!おい!」


恥ずかしい格好のあたしを一人残して。