「こ、こいつらあああ!乙女のパンツを見やがってえ!」

あたしのパワーが上がる。

だけど、英単語の鎖は外れない。

「ハハハ!馬鹿目!問題を解かなければ、外れるか!」

半月ソルジャーの隣で、あたしのパンツを見ているセールスマンが、高笑いをした。


そりゃあ…そうだ。

パワーは上がっても、学力は上がらない。


「ううう…レッド!」

半月ソルジャーは、拳を握り締めると、

「仕方がない!緊急事態だ!月影ロボを発進させるぞ!」

「何!?」

セールスマンが隣で驚いた。

「乙女ソルジャーが戦えないとき、月影ロボが現れるのだ!……もう君のパンツ飽きたし…」

最後は小声で言った半月ソルジャーは、廊下の外…空を指差して叫んだ。

「月影ロボ発進!」


「え?」

「何だと!等身大の戦いで、ロボットだと!卑怯な!」

半月ソルジャーの指差す方を反射的に、あたしとセールスマンは見た。

「見よ!この雄姿!全長135…」

「どこにいるのよ!」

もう暗くなった夜空には、月以外…何もない。



「ぐえ!」


あたしが縛られながら、巨大ロボを探していると、

そばで蛙の鳴いたような声が聞こえた。

前を向くと、セールスマンの体、くの時に曲がっていた。


「センチ!」

半月ソルジャーは夜空から、セールスマンの方へ指先を移動した。

そこには、全長135センチの小さなロボットが、

セールスマンの股間に正拳突きをたたき込んでいた。

「ちいちゃ!」

あたしはパンツを晒しながら、月影ロボを見つめた。

その場で崩れ落ちていくセールスマンに向かって、半月ソルジャーが叫ぶ。

「月影ボイス!」

いつのまにか、テレビのリモコンのようなものを持っている半月ソルジャーは、あるボタンを押した。

すると、月影ロボから声がした。それも、半月ソルジャーの声だ。

「この粗チンが!潰すまでもないわ!×××して、××で、それでもって×××だ!」

とても、ヒーローロボとは思えない暴言を吐いた。