乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜

「そ、そうか!」

セールスマンは思い出した。

「サンプルとして、配り終えたんだった」

ポンと手を叩くと、もう一度鞄の中をチェックした。

「おっ!」

と、一番奥にあった教材を取り出した。

その教材には、大学受験の為〜と書かれてあった。

セールスマンはあたしの顔を、ちらっと見ると、

「これは…かわいそうだ」

教材をしまった。

「ち、ちょっと!どういう意味よ!」

少し憐れんだように、あたしを見たセールスマンの視線が許せない。

「助かったな!レッド!」

あたしの後ろで、おっさんがガッツポーズを取った。

「あのねえ!あたしは、比較的数学はいけるの!駄目なのは、英語!」

馬鹿にされてるのがムカッとして、あたしは思わず口走ってしまった。

「英語かあ!」

セールスマンはにやりと笑うと、中学二年の英語の教材を取り出した。

「しまったあ!」

あたしは逃げようとしたが、英単語が絡み付き、

あたしの視界にこの英単語を訳せの文字が踊る。

「アルファベット嫌い!日本語がいい!」

英単語が、全身を締め付ける。

Jの文字が、変な感じでスカートを前から捲くし上げた。

「きゃ!見えてる!見えてる!」

パニックになるあたしと、

「お!」

パンツを見て、動きが止まるセールスマン。

そして、前まで見に来たおっさん。

「きゃあ!見るな!変態!」

「わたしは、変態ではない!月の使者!半月ソルジャーだ!」

あたしのパンツをガン見しながら、ポーズを決める半月ソルジャーに、

「見るな!変態!」

あたしは何とか、スカートの捲れをなおそうともがいた。

だけど、もがけばもがく程…なぜかスカートが釣り上がる。

「レッドよ!これは、変態行為ではない!」

視線を真っすぐに外さない半月ソルジャーは、あたしの顔を見ずに言った。

「乙女レッドは恥じらいの戦士!恥じらえば、恥じらう程!パワーが上がるのだ!」

半月ソルジャーは、あたしのパンツに向かって、ガッツポーズを取り、

「ファイトだ!レッド!」