ブルーは、右に持ったスタンガンを確認すると、左手を月に向けた。

すると、また何かが召喚された。

ブルーが、それを発動させると、ものすごい音が周囲を震わした。

乙女ブザー。

これで、夜道も安全だ。


「あ、あたしの武器って…すべて、防犯グッズかよ!」

ブルーは、ブザーを捨てると、スタンガンを次々に下っぱに叩き込んだ。

「こうなったら、やけくそよ!」





下っぱ達と戦うブラックとブルーを見つめながら、加奈子は手に持った眼鏡を握り締めた。

「真弓」

特に、ブラックを見つめながら、加奈子は思った。


(あたしは…生徒会長になりたかった…)

コンパばかりに、明け暮れている加奈子だが…

一年の時はこの学園の為に、働きたいと思っていた。

だけど、同年代に九鬼がいた。

誰よりも、この学園のことを考え、特に生徒の為に、身をこにして働く九鬼を見て、敵わないと思った。

一年にして、圧倒的な票を集め、生徒会長に当選した九鬼。

そんな光を浴びて、働く九鬼…。それなのに、九鬼にはどこか影があった。

こんなに恵まれているのに、満足していないように見えた九鬼が、加奈子は気に入らなかった。

(だけど…)

九鬼は戦っていたのだ。

学園の…生徒の為に…。


(あたしは…)

加奈子は、手のひらの上にある眼鏡に、目を落とした。

下っぱ達は、ブラックの攻撃で、加奈子には近寄れない。

(あんたに…守られるだけなんて嫌だ)

加奈子は、眼鏡をかけた。

(あたしは、あんたと対等でいたい!)

加奈子の姿が変わる。


それは、くすんだ色だった。

普通の人は、この色を知らないだろう。

だけど、加奈子は知っていた。

まだフィットしていない眼鏡を人差し指で上げると、

キリッと前方を睨んだ。

「乙女どどめ色!行くぜ!」

加奈子は、前に出た。