「乙女ソルジャー…参る!」

ブラックは、キリッと上空に浮かんでいるイハンダーを睨んだ。

「あり得ん!月の光がないのに、どうして変身できる!」

イハンダーは銃口をブラックに向けると、銃弾を乱射した。

「…」

ブラックは、両手を円を描くように旋回させると、すべての銃弾を叩き落とした。

「な!?」

唖然としているイハンダーを
無視するように、ブラックは後ろにいるあたしに言った。

「乙女ソルジャーの身を包むムーンエナジーを制御できれば、鉛の玉くらい恐れることはない」

「クッ!」

銃弾を装填し直したイハンダーが、銃口を向けた時には、ブラックは上空にジャンプしていた。

「乙女レッドが、無限にパワーを上げれるならば、ブラックはスピードを上げれる」

イハンダーが、ジャンプしたブラックに合わせて撃った時には、もう前にいなかった。

「速い!しかし!」

イハンダーは剣を抜くと、真後ろに向けて横凪に振るった。

「遅い!」

ブラックの蹴りが、イハンダー背中にヒットした。

「ぐぎゃあ!」

イハンダーは空中から、屋上の床に激突した。

ブラックも床に着地すると、そのまま前転しながら、イハンダーに向かっていく。

回転力をつけ、またジャンプし、体を捻った。

「ブラックルナティック!キック!」

鞭のようにしなった右足のすねに光の刃ができた。

その刃を、レッグラリアットのように首筋に叩き込む。

これが、乙女ブラックの必殺技である。

「クソ」

イハンダーは、キックが決まる瞬間、消えた。

「チッ」

蹴りが虚空を切り裂き、ブラックは着地した。

その瞬間、ブラックは九鬼に戻った。

「やはり…限界か」




あたしは、今までの戦いとあまりにもレベルが違うから、その場から動けなくなっていた。

そんなあたしを、九鬼は横目で見つめていた。


第四話【乙女ソルジャーの秘密】