乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜

それは、屋上の入口の上からだった。

黒い影があたしの頭上を飛び越えて、バーコードの頭の上に、着地した。

「誰だ?」

いきなり頭の上に乗られて、腰が下がるバーコードが上を見ようと首を動かした瞬間、

上に着地した人物は、頭を蹴ってジャンプすると、床に着地するまでに、バーコードの首筋、そして、リモコンを持つ左手に、蹴りを入れた。

リモコンが中に舞う。

そのまま軸足を変えると、汚いカツラも蹴り飛ばした。

その間、数秒! 

後ろに倒れるバーコードと、床に落ちたリモコンを踏み潰すのは、同時だった。

「あ、あなたは?」

驚くあたしに、謎の人物は黒の眼鏡ケースを見せた。

そして、倒れているバーコードを睨み、

「闇があるから、あたしがいる!悪より、黒いあたしが、悪を断罪する!」

そして、またジャンプすると、バーコードの頭を踏みつけた。

「月夜の刃!乙女ブラック!」

ソーラー電池の頭が割れた。


「お、乙女ブラックだと!」

バーコードはブラックの足を払い、何とか立ち上がると、わなわなと震えだした。


「大丈夫?レッド」

あたしの方をちらりと見た横顔で、ブラックが誰なのかわかった。

「生徒会長!」

大月学園生徒会長九鬼真弓。

漆黒の腰まである黒髪に、長い睫。スレンダーでしなやかな体に、クールな佇まいは…大月学園付き合いたい人、No.1だ。

まあ…女子高だけど。

「九鬼先輩が…ブラック!」

驚いているあたしに、九鬼は言った。

「呼び捨てでいいわよ。同じ戦隊の仲間なんだから」

九鬼はあたしに微笑むと、バーコードには冷たく鋭い視線を浴びせた。


「そ、そうか!ここ最近、この学園に送り込まれた怪人達がことごとく倒されていたのは、貴様の仕業だったのか!」

バーコードは震える手で、九鬼を指差した。

「あたしは、この学園を守る生徒会長!そして、乙女ブラックでもあるわ。この学園を汚す者を許す訳には、いかない」

九鬼は、ゆっくりと腕を前に出すと、指で手招きした。

「かかってきなさい」