「はい…」

頭を下げ、職員室を出た男は先程から、カバンの奥で鳴り続けていた携帯を手に取った。

マナーモードの為、音は出ていなかった。

「はい」

携帯に出た男は、目を細めながら、話を聞いていた。

やがて、口を開き、

「その話なら、職員室でも話していましたよ」


またしばらく相手の声に、耳を傾けてから、

「わかっております。マイロードよ…」

男は、足を止めた。

その横を、授業を終えた哲也が通り過ぎた。

男は、哲也が職員室に入るのを確認した後、

再び歩き始めた。

「乙女ソルジャーを、覚醒はさせません」

男は口元を緩め、

「まだ普通の乙女であるうちに…始末致します」

携帯をカバンにいれた後、男は廊下の窓から、外を見た。


「まだ…時間はあるな。表の仕事を頑張るか」


男は不適な笑みを浮かべながら、大月学園をひとまず後にした。