「…というわけで、最近不審者が多いから、気を付けるように」

「はあ〜?」

半月ソルジャーの言葉に、あたしは顔をしかめ、

「あんたも、そのうちの1人でしょ」


休み時間、あたしと夏希は半月ソルジャーに呼び出されていた。

まあ…夏希はあたしが連れて来たんだけど。

朝登校してくると、眼鏡で変身したことを興奮気味に話してくる夏希に、

あたしは、机に頬杖をつけながら、赤いケースを見せたのだ。

「今回、呼び出したのは他でもない。乙女ソルジャーが、レッド、ブルー…今日はいないが、グリーンが揃ったことにより、やつらも本腰をいれてくるだろうからな」

半月ソルジャーの言葉に、あたしは首を傾げ、

「やつらって、なんなの?」

「そ、それは…」

半月ソルジャーは、口を濁した。

「あのお…あたし、まだ意味がわからないんだけど」

あたしと半月ソルジャーの間で、夏希はただ首を捻っていた。

「あたし達の戦う理由って、何?」

あたしは腕を組み、焦って汗だくになっている半月ソルジャーを見つめた。

「それは、正義の為だ!」

半月ソルジャーはその質問には、即答した。



「ククク…正義だと?」

どこからか、声がした。

「え?」

あたし達しかいないと思われた屋上に、いつのまにかハゲ散らかした小さいおっさんがいた。

多分、月影ロボと同じくらいだ。

あたし達と距離を取り、佇むおっさんを見て、半月ソルジャーは目を見開いた。

「お前は…バーコード」

「久しいな。半ケツ」

バーコードは口元を緩め、

「最後に会ったのは…お前が、組織を抜ける前になるな」

「ク!」

気まずいそうな顔をしている半月ソルジャーを放置して、あたしはバーコードに近づいた。

「組織を抜けるって、どういう意味ですか?」

あたしの質問に、バーコードは答えた。

「やつは元、我が組織の怪人半ケツ仮面。ある日、開発中の小型ロボと、折角組織が回収した…眼鏡ケースを持って、やつは脱走したのだよ」