「あと二回で、落第だ!」

「え?」

熊五郎の警告に、あたしは耳を疑った。

一年の一学期である。

こんな早い時期の落第は、勘弁である。



そんなあたしの名は、結城里奈。 

落第に怯える大月学園の一年。


そんなあたしが、今日落第よりもショックな事件に巻き込まれることになる。



しょんぼりしながら、校門を通ったあたしは、

学校中が騒ついていることに気付いた。


「?」

教室に着き、扉をガラガラと開けると、

教室内の生徒が一歩離れて、黒板を見つめていた。

「何?」

教室に入ったあたしは、黒板の方に振り向いた。


そこには、黒板いっぱいに殴り書きがしてあった。



「学園は狙われている…。目覚めよ!乙女ソルジャー達よ」

その文を読んだ後、

あたしは首を傾げた。


「何のこっちゃ?」




この物語は、うら若き乙女の学園生活と世界を守る…

若き乙女達の物語であ〜る。


チャカチャカチャカン!

チャカチャカチャカンカン!


と、変なアナウンスと効果音が流れ、

あたしは頭を押えた。


「何?これ!」

あたしは、黒板の前でもがき苦しんでいたが、

他の生徒に、変化はない。

「あたしだけ?」

効果音はすぐに消えたが、


黒板の文字は中々消えなかった。

「これ…油性マーカーで書かれてる!」

黒板消しで、文字を消そうとした生徒が唖然とした。


黒板に落書きされていたのは、全クラスである。

文字を消す為に、各授業が遅れることになった。