そして、物語は冒頭に戻る。

半月ソルジャーを追い掛けて、校舎内に戻ったあたしは、ある教室の前まで、誘導された。

半月ソルジャーは身を屈めると、教室内を指差した。

「な、何?」

教室内を覗いたあたしは、その中で、補習を受けている生徒の姿を見つけた。

そして、

「お兄ちゃん!」

教壇に立ち、補習を担当しているのは、あたしの兄…結城哲也だった。

「男の方ではない」

半月ソルジャーの言葉で、あたしは補習を受けている生徒を見た。

「夏希!?」

たった一人で補習を受けているのは、同じクラスの五月雨夏希だった。

「あの子…補習受けてたんだ」

驚くあたしに、半月ソルジャーはさらに驚く言葉を発した。

「彼女は、乙女ブルーだ」

「え!?」

あたしは、目を見張った。

机の横にかけられている鞄の中から、青い眼鏡ケースが見えた。

「夏希が、乙女ブルー!?」

衝撃の事実に、驚いてると、半月ソルジャーはあたしのスカートを引っ張った。

「もう一人…乙女ソルジャーを見つけている」


半月ソルジャーは、中腰になりながら、あたしのスカートを引っ張っていく。

「ち、ちょっと…」

あたしはスカートを押さえながら、教室の前を後にした。


「あ、あんたね!」

補習をやっている教室から離れたあたしは、半月ソルジャーの頭を叩こうとした。

あたしのパンチを避けると、半月ソルジャーはスカートから手を離し、廊下を走りだした。

「待ちなさいよ!」

あたしも、廊下を走りだした。


そんなあたしを照らすように、廊下の外では、もう月が出ていた。