半田響子は、焦っていた。

もう2ピー歳である。

後がない。

スタイル抜群!ナイスバディである自分が、行き遅れるとは……多分、神様も予定外のはずだ。

女子高に閉じ込められているといるのが、最大の理由であろう。

保健室に勤務している半田は、悶々とした日々を過ごしながら、出会いなき生活からの脱却を望んでいた。

だから、今日はお見合いコンパなるものに参加したのだ。

妙な雑居ビルの一室に集められた八人の男女。


大人の色気を基準値以上に持ち合わせる半田は、無敵なはずだった。

しかし、人生には誤算がつきものだ。

参加メンバーを見た時、半田は絶句した。

(わ、わかい!)

多分、皆…十代である。

しかしも、男側はチャライ! 

教師ならば、注意したくなる程の半端ないチャラさである。

これは、ホストクラブに紛れ込んだマダムのノリである。

しかし…しかし…、


しか―――しである。

半田は、考え方を変えた。

(チャライから、遊び易いわ)

もう食べてやると、女狼の如き目になった半田。



だけど、誤算があった。



隣に座った女である。

その女は、自己紹介もしていないうちに、こう言い放った。

「今日、あたし…お持ち帰りOKです!」



(え!?)

いきなりの爆弾投下に、逆に凍り付く男達。

あまりの言葉に、無言になる場を、意味が通じていないからと勘違いした女は、さらに追い討ちをかけた。

「今夜、やれます!」



「え!?」

女性陣からも声がした。


「え?マジ!いいの!」

男達の中で、一番残念な男が聞き返すと、

女は笑顔を向けながら、

「お前に言ってねえね!殺すぞ!ボケ!」

細めた目から、刺すような鋭い視線が、残念な男を射ぬいた。


半田はその瞬間、隣に座る女の制服に気付いた。

(あたしの学校!?)


その女生徒の名は、平城山加奈子。