「 お前ら入ってきていいぞー。」

こちらに向けた先生の軽い口調を合図に、教室へと足を踏み入れる。

「 え、どっちも！？マジかよ」
「 うわぁ...レベル高ぇ..。」
「 待って、あの男超イケメンじゃん...」

途端に、教室内はまた一斉に盛り上がる。

好奇、憧れ、そんな気持ちが入り交じった視線が突き刺さる。


「 お前ら静かにしろ！えー⋯今日編入してきた、白鳥弘真と白鳥未玲だ 」

「自己紹介しろ」と先生は目で伝える。

「 白鳥弘真、...よろしく。」
「 義理の妹の未玲です。よろしくお願いします。」

私が口を開く前に先に伊織が口を開いた。その声はあくまで通常モードの伊織だった。

教室内は何故かシーンとしている。


「 えー、色々聞きたいことはあるだろうが。とりあえず、弘真は廊下側の一番奥、未玲は窓側のあそこに座ってくれ。」

あそこ、と先生が指を差したのは窓側の1番奥の席の、その隣だった。私の隣は、金髪の男.....が頬杖をついて私のことを見つめていた。

目が合うと男は薄らと笑みを浮かべた......ように見えた

私は不自然にならないようゆっくり視線を逸らす。

「 どうした？未玲？」
「 いえ、なんでもありません。」

笑みが零れそうになるのを堪えながら歩く。


―――これはラッキーだ。ヴォルフのメンバーと近づくチャンスかもしれない。