恋に堕ちたら【完】





「あいつと付き合えばいいんじゃねぇの。あいつもお前に気があるみたいだし。」



追い討ちをかける言葉。



私を絶望させるには十分だった。



目の前が真っ暗になって、身体が痺れてくる。


「…先輩はっ、…本気でそんなこと言ってるんですかっ…?」



震える声。

思うように声が出せない。



気を抜くと涙が溢れてしまいそうで、唇を噛み締める。



「っ、」



バツの悪そうな顔をする先輩に、返事を求めたって返ってこない。




「私は…ずっと凌先輩にっ、好きって、…言ってましたよねっ?」



周りの雑音も何も聞こえなくなる。



「っ、…ごめ、」





「なのにっ、酷いですっ…」




ああ、もうだめじゃん。


ついに本人にも好きでいることを拒絶されてしまった。


そうか先輩は私と他の人が付き合えばいいって思うんだ。



じゃあ私が先輩を好きなのはもう終わりにしないといけない。




「今まで付き纏ってすみませんでした。」



最後くらい、とびっきりの笑顔で。



先輩のことを好きな私は今日で最後。




乱暴にハチマキを取って先輩に渡す。



「おいっ、」



涙が流れるギリギリのところで先輩に背を向けて、戻った。


先輩の呼ぶ声が聞こえたけど、振り返ることなんてできなかった。