「…なんか、私たちのほうに走ってきてない?」
隣にいるにいなちゃんが、怖気付いていう。
「来てるね…」
確かにこっちに向かって一直線。
何を借りるんだろう…。
そんなことを考えていると、小牧くんは爽やかな笑顔で私の前まで来て、
止まった。
「岡崎さん!一緒に来て!」
「わ、私!?」
クラスメイトからは謎の声が上がる。
どうして私?物じゃなくて?
「お題はなんだったのっ?」
「あとで言うよっ」
そう聞いてもいいから、と半ば強引に手を取られて、気づいた頃にはグランドで一緒に走っていた。
大きくなる謎の歓声。
もはや色んな人が色んなことを言ってる声で、何を言われているのかは何ひとつ聞き取れなかった。
「では小牧くん、お題をどうぞ!」
「えっと、『目が離せない人』です!」
そのお題を言うや否や、さらに大きくなる歓声。
ひゅーひゅーなんて声が聞こえる。
私の手を握ったまま、爽やかにいった小牧くんは無事に一位になった。



