恋に堕ちたら【完】




待ちに待った数学テスト返却時間。




「岡崎〜」



「はいっ。」



名前を呼ばれドキドキしながら、教卓に向かう。



「いつも欠点ギリギリなのに、よく頑張ったな。」


いつもは怖い先生の満足げな顔。



受け取る手が震える。




「…っ、」




「岡崎さん…?」



息を呑んだような小牧くんの声。



「えへへ、ダメだった…」



ダメだった。


85点だった。最初の計算で凡ミスをしてる。それで6点も落としてる。




「…そっか。でもよく頑張ったね。」




「…ごめんね、付きっきりで教えてもらったのに。」



あんなに一生懸命教えてくれたのに本当に申し訳ない。


まあいつも42点とかだから、飛躍的に点数は上がってるんだけど。



90点以上じゃないと意味がない。



「謝らないで。」



小牧くんの答案を覗くと、96点だった。



「…小牧くんの点数は流石だね!」



泣きそうになるのを誤魔化しながら、小牧くんに笑いかける。



これで完全に先輩の連絡先ゲットへの夢は絶たれた。




先輩にあんなに大きな口を叩いておきながら、恥ずかしくて合わす顔もない。