「……頬、…もう大丈夫なのか。」
「はい!もうすっかりよくなりました!」
ガーゼは一日で取れて、今は少し赤いだけ。
「…そうか。」
少しほっとした表情を見せたように感じた。
傘に隠れて、見えづらいけど。
「先輩もしかして心配してくれてるんですか?」
「……んなわけねぇだろ。」
傘なんてなければいいのに、とこれほど思った日はない。
先輩の顔が見たい。
雨のリズムで心臓がドキドキ鳴っている。
「この傘だって心配して、渡してくれたんですよね」
小さくつぶやいた声は、返事がなかったから先輩に聞こえたのかはわからない。
「…先輩、好きです。」
なんだかんだ優しいところが、どうしようなく好き。
「はいはい。」



