恋に堕ちたら【完】



急いで後を追いかける。



そういえば、凌先輩から話しかけてくれたのは今日が初めてだ!



「え、せっかくだから一緒に帰りましょうよ!」



先輩が話しかけてくれた、記念日!



一緒に帰りたい。



「無理。」


相変わらずの冷たい返事に、小さくため息をつく。



「けち。」




「あ?」



でも私は気づいてる。



私が追いかけてきたことを知って、歩くスピードを少し緩めてくれたこと。



真ん中を歩いていたのに、少し車道側に寄ってくれたこと。



都合のいい考えかもしれないけど、私のことを完全に否定しないことにどうしても胸がなる。




「どっちにしろ駅までは同じ道じゃないですか!!だから、勝手に隣歩きます!」




「…なら最初から聞くなよ。」




さらに落ちる先輩の歩く速度。




「えへへへ」



受け入れてくれた証。



なんとなくわかってきた。不器用な凌先輩のこと。




「ちっ、」