映画、捨て猫物語は、20分後、
始まった。

主人公の子猫は元いた家から捨てられると
冬の寒さに翻弄させられながら、
温かい人に拾われ、次第に自分らしく
生きて生涯を終えた。

鈴宮は、捨て猫物語を観ながら
天宮の顔を見て、「私は天宮君に拾われた猫だ」と呟いた。

その鈴宮の一言に胸が甘酸っぱい想いで
いっぱいになった天宮は頬をイチゴ色に
染めながら笑った。