10時開店
マスターが中から出てきて、準備中の看板をひっくり返し、営業中に変えた。

前の列に並んでいたお客達が次々に
お手紙倶楽部の中に吸い込まれるように入っていく。

マスターは、最後尾に並んでいた
鈴宮に声をかけた。

マスター「お嬢さんは、誰指名じゃ?」

鈴宮は、マスターに戸惑いながら、
天宮の指名券を見せた。

マスターは、鈴宮の指名券を拝見するなり、「あぁ、天宮君かね。今
お相手中だから、一時間待たせるけど
大丈夫かね?」と話しを繋げた。

鈴宮「ぜ、全然、大丈夫です。
待つのだけは得意ですから。」

マスター「お嬢さん、お名前は?」
鈴宮「す、鈴宮白虎です」

マスター「今日から鈴ちゃんね。
楽しんでってね。」

鈴宮「あ、あだ名、決めていただいて
ありがとうございます♪」

マスター「うちはお客様達にあだ名を
つけて、わかりやすく呼ばせてもらってるんじゃよ。その方が顔馴染みが
増えるじゃろ」

鈴宮「マスター、とっても素敵なお店ですねっ」

マスターは、お手紙倶楽部に
戻る際、ベレー帽を取って
「ありがとう」と告げて、お店の中に
入っていった。