藤野「今日さ、夕方からデート
なんだ。彼氏におしゃれなパンケーキ屋さんに連れてってもらうの」

芹奈「いいなぁ、藤野。 
   私はもう少しで彼氏と
   別れるからなぁ」

藤野「そうなんだ、お別れ遠足とか
しないの?」

芹奈「なにソレ」

藤野「最後のデートのことだよ」

芹奈「それなら、一応、フェアリーズ
ランド連れてってもらうよ。
多摩市にあるじゃん。」

藤野「芹奈もいいじゃん。 
彼氏とのお別れ遠足、楽しんで
きてね」

芹奈「はは、ありがとう、藤野
じゃ、そろそろ帰るわ」

藤野「またねー芹奈」

同級生達が繰り広げる恋バナが
気になってしまう。

精神病になったら恋をする資格は
ないんじゃないか、そんな思いに
かられ、自分を抑え込む癖が
解けなくて、いつの間にか
私は同級生達の恋バナを盗み聞き
するのが学校での唯一の楽しみに
なっていた。

みんなと同じように恋人を作って
恋がしたい。もっと人生を
楽しみたい
けど、精神病な自分を疎まれるのが
怖くて未だに恋路には踏み込めないでいた。

そろそろ教室を出ようとした所で
私は1人の男子高校生に
話しかけられた

天宮「鈴宮さん、これから一緒に
カラオケ行かない?あと1人
行くメンバーが決まらなくて
困ってるんだ」

鈴宮は気まずそうな表情で
「ごめんなさい。今日はこの後に
どうしても行くところがあって
君達には付き合えないのです」

天宮「そうなんだ。
じゃあまた誘うわ。
いってらっしゃい」

鈴宮はちょっと顔を下に向け
「ぁ、ありがとぅ」とお礼を述べた。

鈴宮は裏返った声でお礼を言うと、
恥ずかしさで顔が真っ赤になるのを
隠すように足早に教室を出た