婚活

明日かぁ……。今夜、こんなに飲んじゃってるし、きっと明日の朝は顔が浮腫んでいて、とても見られたもんじゃないだろうし……。もし行くとしたら、もうお酒は飲めない。それも何だかもったいない気もする。でも……切羽詰まってる先方の事を考えると、この縁は大事にした方がいいような気もしないでもない。
「あの……もし行かれても、明日でしたら夕方とかになっちゃってもいいんでしょうか？」
「それは構わないと思います。先方は明日とおっしゃってるだけなので」
「そうですか」
ここで、狡い考えが浮かんでしまった。
「申し訳ないんですが、もし可能ならば明日の朝、お返事させて頂いてもよろしいでしょうか？何だかすごく曖昧なお返事で申し訳ないのですが……」
「そうですよね。今日の明日では、沢村様もやはりリサーチも出来ないでしょうし……承知しました。明日の朝、こちらからまたご連絡させて頂きますので、その時にお返事頂ければ構いませんので」
「勝手言ってすみません。よろしくお願いします」
はぁ……。
何だか酔いが本当に醒めた気がする。気を取り直して飲みに戻ろうとリビングに戻ると、少し席を外してただけなのに、あっという間に缶ビールの空き缶がテーブルの上に6本並んでいた。和磨ったら、ピッチ早過ぎなんじゃないの？まぁ、いいか。明日は休みだし……。
「姉貴。何？明日、何かあるのかよ？」
「えっ？べ、別にいいでしょ？お誘い受けただけよ」
「ふーん。お誘いねぇ……」
「何よ、その意味深な言い方は。あぁ、喉乾いた」
グラスに入った日本酒を一気に飲むと、裕樹も和磨も呆れ顔でこちらを見ていた。
「凄い飲みっぷり」
「姉貴は、確実に婚期遅れるな」　
「裕樹！人の心配してる暇があったら、さっさと先にあんたが身を固めたっていいんだからね」
「はい、はい。でもマジでこのままだと、姉貴まずいよ」
まったく……裕樹はどうしてこうも、人が気にしてる事をズケズケと言うんだよ。
「裕樹。うるさいから、もう先に寝る」