今日は学年全体の校外学習。
地元から少し山の方にあるキャンプ場で班ごとに飯盒炊爨(はんごうすいさん)をします。

飯盒炊爨って、みんなで協力して作るものだと思うのだけど。


「桃乃ちゃん!重いものは俺が運ぶから任せてね」

「桃!野菜の皮剥き終わったよ」

「……、ありがとう」

「お米炊く準備もしておくね!」

「僕は野菜切り分けておくから!」

「…ええ、助かるわ」


さっきから常盤くんと、どっちが役に立てるのかの対決みたくなってる。

僕は料理には自信ある方だから、尚更負けたくない。
熱くなるのは自分らしくないと思いつつ、負けられないんだから仕方ない。


「大志くん、私も手伝うよ」

「ありがとう、さっちゃん。にんじん切ってくれる?」

「わかった!」


包丁を手に取ったさっちゃんは、勢いよくにんじんを切り落とし、そのまま指も切ってしまった。


「い、いたい…」

「さっちゃん、血が出てる…!」

「もー!何してんのよ!」


すぐに傷を洗わせ、桃が絆創膏を持ってきてくれた。


「ありがと桃ちゃん〜。ごめんね!」

「私が代わるから、咲玖は常盤くんのこと手伝ってきて」

「はーい…」


さっちゃんから包丁を受け取った桃は、トントンとテンポ良くにんじんを切っていく。