「あ、ありがとう…」
なのに、どうしてそんなに嬉しそうにはにかむの――…?
思わずキュンと胸が締め付けられた。
なんか調子が狂って嫌だわ……。
「おはよう黄瀬くん!華麗なるイメチェンだね」
「あ、常盤くん。おはよう」
「君は隠し球がありすぎないか?まだ何か隠してそうだなぁ…」
「いやいや、別に隠してはないよ…」
常盤くんが話しかけたことで、他のクラスのメンバーも黄瀬くんの周りに集まってきた。
「どこの美容院で切ってもらったの?」
「どんなオーダーで切ってもらったんだ?」
男子も女子も興味津々。
人の良い黄瀬くんは一つ一つ丁寧に答えている。
ああいうところが律儀というか、真面目なのよね。
「黄瀬くんがあんなにイケメンだったなんて…!!」
「常盤くんと並ぶと目の保養〜!!」
…なんて囁く女子まで。
その日体育の授業があったせいで、黄瀬くんのことは他クラスにもあっという間に知れ渡った。
突如現れたあのイケメンは誰!?って感じで。
しかも黄瀬くんって、昔から運動はどちらかというとできる方なのよね。
九竜みたく飛び抜けてはないし運動部には劣るけど、器用なのかセンスなのかそこそこできちゃうっていうか。
…今だって、ほら。



