「色々ありがとうございました」
「こちらこそありがとう。良かったらまた来てね。
蒼永の友達ならいつでも大歓迎だから」
「はい!」
「それと黄瀬くん…、コンタクトにするつもりはないの?」
「え?」
「いやメガネも似合ってるけど、君は素顔の方がいいと思うよ」
帰り際に言われた言葉が、妙に印象に残った。
メガネじゃなくて、コンタクトか……。
考えたことがなかったわけじゃないけど、痛そうな気がして敬遠していた。
でも、せっかくだから。
ここまできたら、とことん大変身してみたい。
僕はそのままの足で眼科に向かった。
メガネとは小2から連れ添った仲だけど、思い切ってコンタクトデビューしてみたい。
「いかがでしょう?」
「わあ…っ」
初めて付けたコンタクトは最初こそ手こずったけど、見える世界が全て変わって見えた。
モノクロの写真に色がついたような、見えるもの全てが鮮やかに感じた。
鏡の映る自分が別人に見える。
さっきはメガネをかけないとよく見えなかったけど、改めて新しい自分と向き合って…我ながら結構イケてるのでは?と思ってしまった。
これなら、もっと堂々としていられるかな?
常盤くんにも負けない自分でいられるかな?
春日井さんの隣に立っても恥ずかしくない自分でいられるかもしれない――…



