いつか一緒にライブに行けたりしたらいいなぁ、なんて妄想してニヤニヤしてしまう。
お手洗いに立った時、バッタリ常盤くんと鉢合わせた。
「あっ…常盤くん」
「やあ、お疲れ」
「お疲れ様。今日は誘ってくれてありがとう。
楽しかったよ」
これは心からのお礼だ。
本当に楽しかったし、クラスの人たちとたくさん喋れたし、春日井さんの意外な趣味も知れた。
「さっきの歌、本当に上手かったね」
「あ、ありがとう。家族以外の前で歌ったことなかったから、緊張したよ」
「君がどうして桃乃ちゃんに気に入られているのか、わかった気がしたよ」
「え……?」
「俺ってさ、見ての通りイケメンじゃない?」
…………ん?
いやまあ、その通りだし否定はしないんだけど…。
「だからものすごくモテるわけじゃない?」
「はあ…」
一方的に自慢されてる……?
な、何が言いたいんだろう……?
「自分でもこの美貌は罪だと思うよ。
でも仕方ないよね?神様は俺を選んでしまったんだから。
女の子たちが放っておけないのも無理はない」
今までの常盤くんの爽やかなイケメン像がガラガラと音を立てて崩れてゆく。
まさか、こんなにナルシストだったとは――…
「でもさ、この僕の美貌に靡かなかったのが一人だけいた…それが桃乃ちゃんだった」



