久々に見た常盤くんは、前よりもずっとイケメンになってる気がする。

優しそうなタレ目に泣きぼくろが印象的で、童話から現れた王子様みたい。
実際周囲の女子の視線は常盤くんに集中してる。

僕は春日井さんのこと、焦りたくないと思ってる。
今は友達のままでも構わない、少しずつ意識してもらえるようになったらと思っていたけど、そんな悠長なことは言ってられないのかもしれない……。


「…黄瀬くんも同じクラスなんだ。よろしくね」

「…よろしく」


多分間違いなく、常盤くんも春日井さんのことが好きだ。

強力すぎるライバルだけど、負けるもんか…!!


* * *


「常盤くん、良かったらLIME教えて!」
「クラスのグループつくろ〜」


早速女子に囲まれてる常盤くんは、相変わらずモテる。

正直常盤くんみたいなイケメンがライバルで気後れすると言えばするけど、春日井さんはイケメンだからって好きになるとは限らない。
見た目で判断はしないから。

でも、見た目が良いに越したことはない。
せめて春日井さんの隣に並んで恥ずかしくないやつにはなりたいな…。

…そういえば、


「さっちゃん、蒼永くんのお父さんって美容師さんなんだっけ?」

「そうだよ」

「お店って、どこにあるの?」

「えっと、渋谷?原宿だっけ?都心のすごくオシャレなお店でやってるんだよ」

「そっかぁ…」