あんなに臆病になっていたのに、どうしちゃったんだろうな。
フラれたのに全然悲しくないんだ。

だって、僕の恋はここからが本当のスタートだから。


「今は友達でいよう。
でも、諦めないから。春日井さんに恋をしてもいいと思ってもらえるように、信じてもらえるように頑張るよ。
だから、いつかまた告白してもいいかな?」

「……っ!す、好きにすれば……っ!?」

「ありがとう」


彼女の頬がほんのり桃色に染まっていて、かわいかった。

その時、10年後の自分に書きたいことが決まった。
今の決意を書こう。

春日井さんに好きになってもらえるような男になる。
絶対幸せにするし、絶対笑顔にさせるって。

一生の恋もあるんだってこと、証明してみせるよ。


……そして、願わくば10年後、君が恋人として隣にいてくれますように。


その日の夜、あっという間に手紙を書き終えてしまった。
あんなに悩んでいたのが嘘みたいに、スラスラとペンが動いていた。

翌日、12歳の決意を乗せた手紙をタイムカプセルに埋めた。

春日井さんが僕のことを見て、ちょっと頬を染めていたのが嬉しかった。
でも、焦らずゆっくりといきたいので、今はまだ友達のままでいい。
今は、まだ。


そして季節は巡り、僕たちは小学校を卒業した。