結局タイムカプセルを埋める前日になっても、手紙は書けていない。
別に手紙じゃなくても何か物とかでもいいんだけど、埋めたいものとかないしなぁ……。

蒼永くんはなんて書いたんだろう……?


「大志〜、ちょっと買い物行ってきてー」

「はぁい」


ちょうど煮詰まっていたし、良い気分転換になるかもしれない。
母親から買い物リストとお金を渡され、近くのスーパーまで買い物に出かけた。

その帰り道、公園を通りかかる。
ここは去年、春日井さんと二人で座って話した公園だ。

あれ以来、お姉さんとは大丈夫かな……。


「…あれ、」


何気なくベンチに視線を向けたら、座っている誰かの後ろ姿が見えた。
あの後ろ姿って――、


「春日井さん!」


近寄っていくと、やっぱり春日井さんだった。


「…黄瀬くん…?」

「どうしたの?何かあった?」


春日井さんの目は赤く腫れてる。
目の下には涙のあとが残ってる。

泣いてた…?


「ここにいると、暑いんじゃない?
熱中症になっちゃうよ…?」

「……りたくない」

「え?」

「かえりたくない…っ」


春日井さんの声は震えていた。

もしかして、またお姉さんと喧嘩したのかな……?


「うちに来る…?」