地味系男子が本気を出したら。



「流石に九竜が可哀想になってきたんだけど」
「この場にいなくてよかったね」

「九竜、頑張って」
「蒼永くん、頑張れ」
「え、何が??」


その夜、「頑張って!!」と蒼永くんにLIMEしたら「何が?」と返された。

僕は蒼永くんのこと、ずっと応援してるからね…!!


* * *


別の日、僕は机に向かって悩んでいた。
宿題に困っているわけでなく、タイムカプセルに入れる手紙の内容に悩んでいる。

10年後の自分に手紙って、何を書けばいいんだろう……?
書いては消して、書いては消してを繰り返している。


「うーーん……」

「大志!」

「――わあっ!」


突然背後から声をかけられて、思わず便箋を隠して振り返る。


「兄さん!」

「やっほ〜」


一人暮らしをしてる兄さんが帰って来たらしい。


「急に話しかけないで」

「ごめん、ごめん。まさかラブレター書いてるとは思わなかったから」

「…違うよ、タイムカプセルに入れる手紙」

「へー、タイムカプセルかぁ。いいねぇ、若い」


何故かおじさんみたいな口調の兄さんは、ゴロリと僕のベッドの上で寝転がる。
兄さんは弁護士志望でめちゃめちゃ頭が良いんだけど、私生活ではゴロゴロしてるんだよね。